イヤー・オブ・メイヤー
昨日ラス・メイヤー コンプリート映画祭について記しましたが、考えてみると今年は日本的にはラス・メイヤー・イヤーといえなくもない。「ワイルド・パーティ」のDVD化、「ファスター・プッシー・キャット・キル!キル!」を含む8枚組DVD―BOXのリリース、そしてこの映画祭。11月にはDVD-BOX第2弾もリリースされる。
ラス・メイヤーの数少ないメジャー製作作品である宿命か、今度の映画祭では残念ながら上映されない「ワイルド・パーティ」について。一旗上げようとLAに上京したギャル・ロックバンド3人組が、ドラッグとセックスの誘惑に満ちた業界の暗部に溺れ、しまいには血みどろの惨劇にまきこれる…。展開はかなり強引で、クライマックスは殺戮にも発展するが、後味が悪いどころか、さらに強引にハッピーエンドに持っていてしまう凄まじさにあっけにとられ、初めて観たときは爆笑してしまった。
主人公トリオのバンド、なかなかかっこいいナンバーを聴かせてくれるのだが、気合の入ったブルースロックからガレージ、サイケデリック、やたらとピースフルなフォークロックなどなど、曲によってスタイルがガラッと変わり、指向がメチャクチャ。しかも、このボーカリスト、メイクが1960年代イギリスのガールポップのスター、LULUに似た雰囲気がある。あまりに突拍子のない展開だけでなく、そんな脈略のない音楽設定も、この映画の愛嬌なのです。
劇中のパーティシーンでは、サイケデリック・ロックの急先鋒ストロベリー・アラーム・クロック/THE STRAWBERRY ALARM CLOCKが、「嵐の青春」に続いて出演を果たし、ライブ演奏を披露している。彼らのデビュー曲にして最大のヒット曲『INCENSE AND PEPPERMINTS』を皮切りに、3曲を立て続けにプレイ。最後の『I’M COMING HOME』は最近、他の映画でも聴いたが…。“あたしストロベリー・アラーム・クロック大好きだけど、生で聴くの初めて〜”とLULU似のヒロインが興奮気味に言っているが、当時は人気絶頂期だったのだろう。登場人物の会話に遮られ、演奏シーンをじっくり観れないのが惜しい。
写真は、その『INCENSE AND PEPPERMINTS』収録、1967年の1STアルバム。この曲は「オースティン・パワーズ」とか、デボン・サワが出ていた兄弟冒険映画(タイトルド忘れ)とか、60’Sを舞台にした映画では、ちょくちょく使われているようです。
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