もう騙されねえ!

gakus2004-07-26

 ROCK ODYSSEY 2004、横浜初日のオープニングを飾ったラヴサイケデリコは、ニール・ヤングの『ROCKIN’ IN THE FREE WORLD』をプレイしたという。もし、この時間にピート・タウンゼントが会場入りしていたとしたら、どんな気持ちでこれを聴いたのだろう。

 町山智浩氏の日記によると、この曲はマイケル・ムーア監督の「華氏911」のエンディング・ナンバーになっているとか。
 http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040625

 映画監督のマイケル・ムーアTHE WHOピート・タウンゼントとの関係は現在、険悪らしい。かいつまんで説明すると、発端はブッシュ政権批判映画「華氏911」でムーアがTHE WHOの『WON’T GET FOOLED AGAIN』を使いたいと申し出て、断られたこと。ムーア側の提示した使用料がTHE WHOのその他の映画での使用料に比べて安かったこと、ピートが映画にふさわしくないと判断したことが理由に挙げられている。ピートの推薦で、ニール・ヤングに当たったムーアは結局『ROCKIN’ IN THE FREE WORLD』を起用することにしたが、これが両者の間にシコリを残し、たがいに罵り合う結果になっているという。罵倒合戦の内容は過去の因縁まで持ち出して、なんだか子供のケンカみたい。詳しくは以下にて。
http://music.yahoo.co.jp/rock/music_news/mtv/20040715/mtvent004.html

 マイケル・ムーアの映画もTHE WHOの音楽も大好きなので、どちらにどうと肩入れするつもりはない。はっきりしているのは『ROCKIN〜』と『WON’T GET〜』、どちらがエンディングでかかるかで映画の後味も変わってくる、ということ。“自由式主義社会でロックし続ける”と歌う前者は、よりストレートに映画のテーマを伝えることになるだろうし、“もう騙されねえ、誰がリーダーになっても同じだけどな”という後者ならより風刺的になったと思う。まだ映画を観ていないので『ROCKIN〜』がどんな効果を上げているかわからないが、単純に楽曲比較で判断すれば、直接的に感情に迫るエンディングなのかも、と予想する。「ボーリング・フォー・コロンバイン」でのジョーイ・ラモーン『WHAT A WONDERFUL WORLD』もグッときたしなあ。

 ラヴサイケデリコの『ROCKIN〜』から、およそ6時間後、同じステージ上でTHE WHOは『WON’T GET〜』をプレイした。アンコール前の締めくくりとして。それだけ、THE WHOにとって重要な曲なのだから、ピートも安売りはしたくなかったのだろう。というわけで、写真は名盤の呼び声も高い1971年の『WHO’S NEXT』。