私の好きなイギリス映画

gakus2004-09-08

 昨日の話の流れで、個人的に大好きなイギリス映画を挙げていこうと思います。不定期連載。もちろん、音楽絡みで。

 最初に挙げたいのは、1961年の青春映画「蜜の味」。シェラ・デラニーの同名戯曲の映画化で、当時イギリスを席巻していた文化的ムーブメント“怒れる若者”のひとつに数え上げられる。監督は後に「トム・ジョーンズの華麗な冒険」「ホテル・ニューハンプシャー」などを撮る故トニー・リチャードソン

 物語は、横暴な母親とともに貧乏暮らしをしている女の子が、ゲイの男の子と出会って自由を謳歌するものの、やがては現実の厳しさに直面する…というもの。思春期特有の浮き沈みの激しい感情や、根拠のない希望だけを抱えてはやっぱりダメだった…という落差のリアリティは、胸に迫るものがある。ヒロイン、リタ・トゥシンガムは、この後カンヌ・グランプリ作「ナック」で“レイープ、レイープ!”と叫ぶアンポンタン少女役で名を上げるが、このときの初々しさの方が個人的にはより強く印象に残っている。同じリチャードソン監督の“怒れる若者"映画「長距離ランナーの孤独」ともども、DVD化が待たれる傑作。

 そもそも、この映画を知ったのは、やはりスミス/THE SMITHSから。1984年、モリッシーのアイドルだったスウィンギンロンドン時代の人気シンガー、サンディ・ショウ/SANDIE SHAWを担ぎ出して、スミスがレコーディングしたシングル『HAND IN GLOVE』のジャケット(写真)に、この映画のスチールが使用されていてたのです。リタ・トゥシンガムの憂いを含んだ横顔が何とも印象的だった。

 さらに、映画を観てみると、SMITHSの歌詞に登場する言葉が、そっくりそのままセリフの中にあったり。“昨日の夜、君の夢を見てベッドから2度も転げ落ちたよ"とか。モリッシーが、いかにこの映画から影響を受けていたかがわかる。

 映画でロックを知ることもあるけれど、逆に音楽から映画を教わるパターンもある。この二つの柱、やはり自分には切り離せません。