私の好きなイギリス映画 2
2度目にして早くも大玉。後が続くのか心配な『さらば青春の光』でございます。
スウィンギン・ロンドンの時代、ヴェスパに乗って街を駆けるモッズ少年ジミーの物語。この映画については散々語りつくされた感があるけれど、ラストシーンについてだけは言っておきたい。というわけで、以下ネタバレあります。
好きな女の子には裏切られるわ、憧れていたモッズのヒーローはホテルのベルボーイになってるわで、THE WHOの『マイ・ジェネレーション』よろしく“歳老いるまえに死んでやる!”と、スクーターでブライトン・ビーチの断崖から海へとスクーターを走らせるジミー。崖から転落し、破壊されるスクーターを写し出したラスト。このシーンをシンボリックにとらえ、ジミーが死んだと思っている人は意外に多い。が、実は生きていることは、もう一度冒頭のシーンを観れば明らかで、スクーターだけを落として、スゴスゴと断崖を背に歩くジミーの姿が確認できる。つまり、映画のエンディングが冒頭にループしているのだ。
ジミーの死を、封印された純粋さとしてロマンチックにとらえるのもアリだとは思うが、死のうとしても死ねなかったジミーの情けなさの方がリアリティがあると思う。ちくしょう、ちくしょうとつぶやきながらも、人生は続いていくものだから。
そんなジミーのスナップをデザインしたサントラ盤(写真)。映画の元になったアルバム『四重人格』の産みの親ザ・フー/THE WHOの楽曲のみならず、ジェームズ・ブラウン、ロネッツ、 ブッカーT&MG’sなどのモッズ好みのナンバーを配したナイスなコンピレーション。個人的にはフーの前身であるHIGH NUMBERSのナンバー2曲を収めているだけで大満足です。
ジミーが着ているようなアーミー・コートを買ったものの、後のカミさんに“デブのモッズはかっこ悪い”と毒づかれ、ちくしょう、ちくしょうとばかりにダイエットしてみたのも今は昔。今や、なるようになれ、です。
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