今日はゴスペル

gakus2004-12-07

 ド田舎版「天使にラブソングを…」というべきコメディー「ファイティング・テンプテーションズ」(2005年1月公開)を観る。

 都会での生活に行き詰まったお調子者の黒人青年が、叔母の死の知らせを受けて米南部の田舎町に帰郷。そこで遺産を相続することになるが、そのための条件として、教会の聖歌隊の指揮をとり、コンクールに出場することが義務づけられる。足並みのそろわない聖歌隊に一本筋を通そうと、青年はバーの美しい歌姫を参加させるが、世俗音楽を歌っている上に未婚の母である彼女を教会は歓迎せず、前途は多難…。

 MTVが製作にからんでいるので、音楽の見せ場がやたらと多く、ゴスペルのパフォーマンスはしっかり聞かせる。とはいえ、いわゆる正統派の教会音楽ではなく、“主を讃えていれば何でもいい”というよくわからない論理から、R&Bやヒップホップも挿入され、賑やかこのうえない。デスティニーズ・チャイルドビヨンセがヒロインを演じている点にも“華”を感じる。

 そのビヨンセ嬢、初登場はバーのステージのシーンで、いきなりソウル・クラシック『FEVER』をジャズ風アレンジで色気たっぷりに歌ってしまう。もちろん、聖歌隊の核となってからも熱唱の連続。主人公の青年(キューバ・グッディングJr.)との恋模様も演じて、女優業もしっかりこなす。

 音楽を元ザ・タイムで1980年代の売れっ子プロデューサーコンビ、ジミー・ジャム&テリー・ルイスが務めている。ジャネット・ジャクソンあたりの当時のヒット曲のように、リズムにメリハリがあるのはこの人たちの特徴だが、それが本作の音楽にも生きていて、躍動感はなかなかのもの。2時間を超える作品だが、乗せられて観てしまいました。

 ジャケは、ビヨンセがカバーした『FEVER』の超ファンキー・バージョン収録、MARIE QUEENIE LYONS、1970年のアルバム『SOUL FEVER』。