軽い映像に重い曲

gakus2004-12-08

 「王妃マルゴ」「愛する者よ、列車に乗れ」のパトリス・シェロー監督の新作「ソン・フレール/兄との約束」を観る。

 血液の病気で死期が迫る兄と、ゲイであるその弟の最期の交流を描いた、この映画、ほぼ全編手持ちカメラが使用されている。かといって、やたらめったらカメラが動きまわるワケでもなく、キャラクター主体の“静"の部分もしっかり捉えているので、いわゆるドキュメンタリー的作風よりも、いささか落ち着いた雰囲気。どうでもいいけど、やたらとチ●ポが映し出されるのが気になった。

 劇中、兄の苦しみを自分のもののに重ねた弟の、幻想を映し出すシーンで、シェロー監督の「インティマシー/密会」には出演もしていたマリアンヌ・フェイスフルの『SLEEP』が使用され、エンディングにも再登場。歌詞の点では映画とリンクしているので、間違いなく効果を上げているが、重々しいイントロから始まるダークな歌は手持ちカメラの軽さとは噛みあっていないような気もする。それまで、あまり音楽が鳴ってなかったから、余計に不自然な感じがするんだけど、どうでしよう。

 ジャケは同曲収録の1995年のアルバム『A SECRET LIFE』。御歳58歳のマリアンヌは久々のツアーを行なおうとしていた矢先、病に倒れてすべてのコンサートを延期せざるをえなくなったとか。来日の予定こそなかったけれど、日本公演の可能性が下がったのも事実。お大事にしてください。