gakus2005-03-27



★CD『A HYPERACTIVE WORKOUT FOR THE FLYING AQUAD』OCEAN COLOUR SCENE


 オリジナルとしては7枚目となる、オーシャン・カラー・シーンのニューアルバム。毎回、本当にワクワクさせられるが、今回も期待にたがわぬ出来。「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」の冒頭でガツンとフィーチャーされた『HUNDRED MILE HIGH CITY』のころのような、転がっていくような勢いとはまた違った類の勢いがある。腰が座っているというか…こういうのを成熟と言うのだろう。

 ベースのデーモンが抜けてからの最初のレコーディングで、どうなるかと思いきや3人体制で、より厚みのあるサウンドを作り出している。シングル・ナンバー『FREE MY NAME』ではサイケなシンセをフィーチャー。フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドが凄まじいジョージ・ハリスンの『WAH WAH』をしっかりカバーしているのも、今だからこそですね。カバーといえば、アルバムのラストのレゲエ風バラッドもそう。聴いていて“この声サイモンじゃないぞ…”と思ってライナーを見たら、ドラムのオスカーが歌っていると記されていてビックリ。さらにフィドルマンドリンを使ったナンバーもあり、アレンジは実に多彩。そんなサウンドの中にあっても、メロディーが埋もれず輪郭がはっきりしているのは、このバンドの強み(最近のOASISには、それがないんだよね…)。聴けば聴くほど、泣きのフレーズが頭にこびりつく。

 歳のせいかどうかは知らないが、最近はレコードを買うと、“これ10年後の自分が聴くかな?”などと考えることがある。そう問われたとき、オーシャン・カラー・シーンのレコードに対しては、ジョージ・ハリスンジョン・レノンポール・ウェラーと同系列でイエスと断言できる。アレンジに凝ったとはいえ、歌の良さが損なわれないアルバム。今週どころか、しばらくはヘビーローテだな。ライブでは5人編成となっている模様。久しぶりに観たいなあ…。