ウィル・スミスのBGM

gakus2005-03-28

 「アイ、ロボット」のウィル・スミスのラブコメ初挑戦で話題の「最後の恋のはじめ方」(原題「HITCH」、6月日本公開)を観る。

 恋愛専門コンサルタント(スミス)が、自分の恋に悪戦苦闘するという物語。スミスの軽妙な存在感は、恋愛指南者の雰囲気に合っている。まさに、歩くホットドッグプレス(今もあるのかね)。恋愛マニュアルの持ち主となると、ともすれば軽薄にも見えるが、本気で誰かを愛している人にしか助言をあたえないという設定で一本筋を通しており、意外にも好感が持てた。

 近々新譜をリリースするウィル・スミスだが、アース、ウィンド&ファイアーの『REASONS』をおどけて口ずさむシーンこそあれ、この映画では主題歌はお休み。代わって、新旧のソウルナンバーが全編を彩る。冒頭、ウィルが女性のハートを射止めるルールらしきもの(“話す時には彼女の口を見るな”とか“決して裸を想像するな"とか)をまくしたて、成功例を紹介するのだが、この一連のシーンはノスタルジックなブラックミュージックを連打。サム・クックジミー・クリフ、マーサ&ザ・ヴァンデラス、オージェイズと、陽気なナンバー、4連発で、ロマンスの浮き立つような感覚を盛り立てる。

 オールド・ソウルでは他に、ウィルと恋人(エヴァ・メンデス)が部屋で野菜を投げ合って大喧嘩している際に、オーディオからテンプテーションズの『I CAN'T GET NEXT TO YOU』が鳴り響いていた。腰にくるグルーヴはファイトにも合う!?

ウィル・スミスというと、アーティストとしては売れ線ラッパー的な匂いがするが、俳優としての軽さには懐かしめのノーザンソウルが合う。浮き足立つようなビートに、スムーズで抑揚のあるボーカル。それがフィットする人だなあと思うが、どうでしょ!?

 ジャケはテンプテーションズ、1969年リリースのアルバム『PUZZLE PEOPLE』。サイケデリック・ファンク路線を開拓したころの好盤で、『HEY JUDE』の解体カバーを収録。