つかまえたっ！

　「エリザベス・ハーレーの明るい離婚計画」(11月公開)は、財産分配のない離婚通知をある日突然、受け取った人妻と、通知届け人の、夫への逆襲を描いたラブコメディー。ミニスカ姿のハーレーが、40歳とは思えないはじけっぷりで楽しませてくれる。

　この映画でひとつ勉強になったのは、アメリカには法的書類を専門に届ける仕事があるということ。離婚届や召喚状など、受け取りたくない類の書類を避けて逃げ回る人も多いらしい。届け人は、そんな対象者を見つけ出し、届け状を渡して写真を撮れば、任務完了になる。この映画のマシュー・ペリーふんする通知届け人は、最初はエリザベス・ハーレーに離婚届を届けることを任務にしていたが、それによって彼女が手ひどい仕打ちを受けることを知り、逆に彼女からの夫宛離婚届を手渡すために追いかけっこを繰り広げる。一方、ハーレーも夫からの次なる離婚通知を携えた届け人に追われ、ドタバタ劇の色合いはどんどん強くなる。

　劇中ハーレーに一度は離婚届を届けることに成功した男が、ボスにそれを報告し、それを聞いたボスはウキウキして踊りだすシーンがあるが、そのバックでかかっているのがジョー・テックス、1971年のヒット曲『I GOTCHA』。まさに“つっかまえた！”という歌で、テックスのファンキー節全開のうえに、ボス役のセドリック・ジ・エタンターテイナーがひとり事務所で無意味に、あまりにノリノリで踊ってるもんだから、つい吹き出してしまった。

　『I GOTCHA』はジェームズ・ブラウンの向こうを張ったファンクナンバーで、60年代末にレコーディングされていたが、リリースはなぜか71年で、しかもシングルのＢ面というあつかいだった。ブラウンをライバル視していたテックスだから、こういうモロにＪＢ風のファンクを発表するのは気が引けたのだろうか…などと邪推しつつ、JOE TEX、アトランティック時代のベスト盤のジャケを。

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