ニルヴァーナが聴こえない
カート・コバーンの死の謎に迫った内容であり、妻コートニー・ラヴが上映妨害したことで話題となった1998年製作のドキュメンタリー映画「カート&コートニー」がDVD化された。で、観てみたんだけど、なるほどコートニーが妨害工作をしたのも頷ける。
ニック・ブルームフェルド監督(この後、シャーリズ・セロン主演の「モンスター」の元となるドキュメンタリー「アイリーン」を撮る)が関係者を訪ね歩いて、カートの他殺説を追及していく内容。はっきりと言及はしていないが、そこにコートニーがなんらかのかたちで関わっていた…ということが証言から浮き彫りになる。
なかでも驚くのは、コートニーの実の父親が“あの女ならやりかねん”みたいなことを言ってること。さすがにブルームフェルドも“実の父親なのに、なぜそんなことを?”と問うのだが、この父ちゃんの娘への発言は罵りの色をおびてくるばかり。さらにカートの暗殺を依頼されたとことがあるというミュージシャンや、カートの家でベビシッターをしていた少女が出演し、嫌悪や侮蔑、恐怖などのコートニーに対する悪感情をあらわにする。まったくもってビッチ扱い。
コートニーが殺人に関わっていたかどうかともかく、興味深いのはカートとコートニーの間の溝。証言ではコートニーは華やかなスター・ライフに憧れていたが、カートは大嫌いだったという。そして何より明確な違いはコートニーが本作の中では“グランジ”という単語を、ある種のプライドを持って使っていること。カートはその範疇に括られることを嫌ったのは有名だが、コートニーはそうではないようで、“あんたにグランジの何がわかるの!?”というようなことを堂々と言ってのける。
カートのことを描いた映画ながら、ニルヴァーナの曲が一曲も使用されない。これもコートニーからの圧力だとか。
ジャケはHOLE、1991年のファースト・アルバム『PRETTY ON THE INSIDE』。このころのコートニーは、まだスマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンとつきあっていたはず。
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