ブルーにこんがらがって、ほどけて
M・ナイト・シャマランの新作「レディ・イン・ザ・ウォーター」(9月公開)は、奇をてらった過去のシャマラン作品とは異なるファンタジー。時おり従来のショック演出も顔を覗かせるが、唐突さもドンデン返しもなくメルヘン風に話は進む。
生活に疲れたアパートの管理人(「サイドウェイ」のポール・ジアマッティ)が、プールで見つけた“水の精”(「ヴィレッジ」に続いてシャマラン作品のヒロインとなったブライス・ダラス・ハワード)。この妖精を狼に似た凶暴な生物から助け、元の世界に帰すため、管理人はアパートのクセのある住人たちとともに奮闘することになる。ブルーを基調にした映像は、さすがコダワリのシャマラン映画と思わせる。ちなみに本人もアパートの住人役で出演。
『TANGLED UP IN BLUE』『IT AIN'T ME BABE』とボブ・ディランのナンバーが劇中かすかに聴こえたと思ったら、エンドクレジットでは『TIMES THEY ARE A CHAINGING』の幻想的カバーが。このカバーは“水”が大きなエッセンスとなる物語にふさわしく、“あなたの時間が貴重だとしたら今すぐ泳ぎだしなさい、そうしないと沈んでしまう”という歌詞に、子供のコーラスをフィーチャーしたアレンジがハマって妙に感動的。あたかも水の精が歌っているような雰囲気がある(ちなみにA WHISPER IN THE NOISEというバンドによるカバー)。
そういえば、水の精を帰還させる作戦の一環として開かれたパーティで、バンドが演奏していたのは『MAGGIE'S FARM』だった(歌い出したと思ったら場面が変わるが…)。ここまでしつこく引き合いに出すところをみると、シャマランはディランのファンなのかもしれない。
ジャケは『THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN’』(邦題『時代は変わる』)収録、1964年の同名アルバム。
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