お祭り野郎
秋祭りの季節、自分の住んでる東京の下町でも、地元神社のお祭りがある。で、夜は地元の江戸っ子の方のお家にお邪魔することになっているんだけど、この御方は例年、お祭りの日に、百人近い友人・知人を招き、ガレージで宴が開いているという。酒代・食い物代はその御方の自腹。こちらとしては、さすがに申し訳ないので酒代ぐらいはお渡しした方がいいのではと思ったのだが、その方に言わせると“わざわざ遊びにきてくれるんだから、それだけで嬉しいし、楽しんでいってほしい”とのこと。それが江戸っ子の祭における心意気のようです。
なぜ唐突にこんなことを書いたかというと、今日見た「ブロック・パーティー」(11月公開)なる、ミシェル・ゴンドリー監督(「エターナル・サンシャイン」)の手によるドキュメンタリー映画に似たような人を見たから。これはブルックリンの路上の一画で開催された、フリー・コンサートの模様を追ったもの。ローリン・ヒル、カニエ・ウエスト、エリカ・バドゥ、ジル・スコットなど現代ブラック・ミュージックの顔役というべきそうそうたる顔ぶれが結集し、ほとんどゲリラ的に決行された。カニエとローリンの競演、不仲が伝えられたフージーズの奇跡的再結成をはじめ、他では見ることのできないステージ・アクトはファンには嬉しいところ。個人的には、このあたりには疎いんですが…。
このコンサートの主催者は「アンダーカバー・ブラザー」など映画の主演作もある人気コメディアン、デイヴ・シャペル。映画は、コンサートの模様と同時に、彼がコンサートに向けてやってきた準備の模様も追いかける。NYから離れたオハイオの人々を、長距離バスとホテルを手配して招待。当日も拡声器を持って車を走らせながら、コンサートの告知を呼びかける。もちろんリハーサルにも顔を出し、セッションにまざりながらミュージシャンの士気をジョークで高める。雨に祟られたものの、結果的にライブは大いに盛り上がる。オハイオから来た大学生はこう言った“自分が何者でろうと、したいことをしなきゃ”。そしてしたいことをしたシャペルは“俺はやり遂げた。人生最良の日だ!”と笑顔を見せる。
祭りは結局、そういうところに意義があるんじゃないか。他人とかかわり、他人とともに喜ぶ。もちろん、そこにはコミョニケーションの喜びもあるし、達成感も独りよがりのレベルにとどまらない。それはとても素晴らしいことじゃないか…と、人付き合いが得意な方ではない自分はしみじみ思うのでした。
恥ずかしながらフージーズは名前しか聞いたことがなかったけど、『KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG』をカバーしていたんですね。このコンサートでの演奏は、ハンパでない盛り上がりぶり。ジャケはこの曲のオリジナネイター、ご存知ロバータ・フラックの1973年の同名アルバム。
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