クラいなあ、リチャード…。
フィリップ・K・ディックの小説『暗闇のスキャナー』を「スクール・オブ・ロック」のリチャード・リンクレイターが、「ウェイキング・ライフ」と同様の実写にアニメーションを重ねる手法で映像化した「スキャナー・ダークリー」(12月公開)。監視と密告が横行する近未来社会を舞台に、脳を破壊するドラッグ“物質D”を取り締まるためにジャンキーの中に潜入した囮捜査官(キアヌ・リーブス)が、自分を監視するという奇妙な任務を命じられ、そこにドラッグの幻覚作用も手伝い、とんでもない事態に陥っていく…というお話です。
後味は「未来世紀ブラジル」風の無情感にも近いが、救いのなさに拍車をかけるのがエンドロールで流れるTHOM YORKE(言うまでもなく、RADIOHEADのあの御方です)の『BLACK SWAN』。“That is fucked up, That is fucked up"というサビのフレーズが頭の中でループ。本当に“とんでもなくドン詰まった"気分にさせられた。
リンクレイターはRADIOHEADの相当なファンらしく、この映画では他にもレディオヘッドのナンバーが使われている。『FOG』『THE AMAZING SOUNDS OF ORGY』『SKTTRBRAIN』の3曲で、いずれもそんなにはっきりと聴こえるわけではなく、ボーっとしていると聴き逃してしまうかもしれない。現に、自分がハッキリ判別できたのは、キアヌとヒロイン、ウィノナ・ライダーが乗ってる車の中でかかっていた『THE AMAZING SOUNDS〜』だけ。『SKTTRBRAIN』はリミックス・バージョンのイントロ部分が、ほんの一瞬、キアヌのヤク中仲間のラジオから流れていたと思う。それにしても、この3曲はどれもアルバム未収録曲(『SKTTRBRAIN』は近作に入っているが、ここで使われているのはリミックス・バージョン)で、シングルにカップリングされていたナンバーばかり。そのあたりにリンクレイターのRADIOHEADへのマニアックな入れ込みを感じたのでした。
ジャケは2001年リリース、『THE AMZING SOUNDS〜』を収録したRADIOHEADのシングル『PYRAMID SONG』。
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