劇場では見られない

gakus2006-12-28

 あらー、『マウス・タウン』の劇場公開がなくった…と思ったら、もうひとつ、3月に公開が予定されていた監督リドリー・スコット、主演ラッセル・クロウのコンビによる『ア・グッド・イヤー/プロヴァンスからの贈りもの』もお蔵入りになってしまった。アメリカン・コメディーが日本の劇場から排除されつつある昨今、どちらもコメディー色が強いのがいけなかったのか。ともかく、『ア・グッド・イヤー』はなかなかの良作なんですけど。

 ラッセル・クロウふんするロンドンの、やり手の証券取引人が、祖父からプロヴァンスのワイン園を相続する。最初はとっとと売り払って仕事に戻ろうと思っていたが、手続きの問題や雇い人とのしがらみに足を引っ張られ、さらには恋まで芽生えてロンドンへ帰るに帰れなくなる…というお話。セカセカと働く現代人を、田舎のノンキなリズムが飲み込んで、“もっとゆっくり生きましょう”と語りかけてくる『カーズ』のような映画。ブロヴァンスの絶景を見ていると、確かに時間に追われているのが空しくなってくる。そんな映像美が魅力であるだけに、劇場でこそ見るべき映画だと思うのだが…。

 プロヴァンスには気候が良いせいか、サソリが窓枠から現われてラッセルをビックリさせるシーンがある。その後に流れているのはNILSSONの『GOTTA GET OUT』。“こんな村、イヤだー”というラッセルの心の叫びにも思えるが、ファンキーでノンキな曲調はもちろん状況をファニーに見せる。こんな感じの、イージーでアーシーな1970年代のナンバーが多かった印象。

 ジャケは、この『GOTTA GET UP』を収めた1971年の名盤、ニルソンの『NILSSON SCHMILSSON』。


追記
プロヴァンスの贈りもの』のタイトルで、2007年夏公開決定。