古き良き時代のおわり

gakus2007-01-22

 昨日JFKの話が出たついでに、その弟ロバート・ケネディの暗殺事件をモチーフにした『ボビー』(2月公開)の話を。

 泥沼のベトナム戦争からの脱却を訴えて大統領予備選で勝利を収め、アメリカの希望の星といわれたボビーこと、ロバート・ケネディが暗殺されたのは1968年6月4日のこと。その日、その場所(ロサンゼルス、アンバサダー・ホテル)に偶然集まっていた22人の群像を描いたのがこの映画で、選挙運動員からホテルの支配人、従業員、宿泊客らのそれぞれのドラマが、ときに入り混じりながら展開する。監督は俳優としてもおなじみのエミリオ・エステベスで、出演も兼任。他に元恋人デミ・ムーアや父親マーティン・シーン、シャロン・ストーン、イライジャ・ウッドリンジー・ローハンローレンス・フィッシュバーン、ヘレン・ハント、ローレンス・フィッシュバーなど、豪華キャストが結集。

 1968年という年を意識させるためか、会話の中には『卒業』『俺たちに明日はない』などの当時の作品が論じられている。音楽も同様で、1960年代のヒット曲をガンガン使用。目立つのはモータウン・ナンバーで、ダイナーではSMOKEY ROBINSON & THE MIRACLES『TRACKS OF MY TEARS』が聴こえてきて、選挙運動員が投票の説明をしているシーンでは同じくミラクルズ『MICKEY'S MONKEY』が流れてくる。また、シャロン・ストーンが働く美容室ではSTEVIE WONDER『I WAS MADE TO LOVE HER』やMARVIN GAYE『AIN'T THAT PECULIAR』、準備中のパーティー会場ではTHE SUPREMES『COME SEE ABOUT ME』、さらにマイナーなところではSHORTY LONG『FUNCTION AT THE JUNCTION』まで聴こえてきて、その筋のファンにはたまらないセレクト。実際のところ、これらの曲はこの時代にはすでにオールドスクールで、1968年のモータウンはファンキーなものに擦り寄っていたのだが、この時を境に時代が変わったことを思うと、こういう古き良き時代の曲を使うのはなるほどと思える。

 他にはアシュトン・カッチャーふんするドラッグの売人の部屋でDONOVAN『SEASON OF THE WITCH』『HARDY GURDY MAN』も聴こえてきた。

 ジャケは1964年リリース、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの『DOIN' MICKEY'S MONKEY』。

ボビー BOBBY  [DVD]

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