free me!

gakus2007-03-25

 昨日記した『BLADES OF GLORY』の前に、ナポレオン・ダイナマイトこと、ジョン・ヘダーの主演作には『SCHOOL FOR SCOUNDRELS』というコメディー映画があるんだけれど、これも日本公開の話が一向に聞こえてこない。『バス男』『恋人はゴースト』『がんばれ!ベンチウォーマーズ』に続き、ビデオスルーとなってしまうのか?

 ともかく、未公開にするにはちょっともったいない気もする『SCHOOL FOR SCOUNDRELS』は、こんなお話。ヘダーふんする主人公ロジャーは、しがない駐車違反取締官。自己啓発本もまったく役に立たないほどの小心者で、同じアバートに住む憧れのオーストラリア人女性アマンダとも上手に話せない。そんな彼が友人の勧めでとあるカルチャー・スクールに通うことになるのだが、そこは自信に満ちた男を養成する教室で、講師のドクターP(ビリー・ボブ・ソーントン)とその助手(マイケル・クラーク・ダンカン)のスパルタ教育が待ち受けていた。ロジャーはそこで少しずつ自信をつけていくが、ドクターPがアマンダに近づいたことでブチ切れ、この百戦練磨の鬼講師と対決することになる…。

 アマンダの前で過呼吸でぶっ倒れたり、彼女のルームメイトには気持ち悪がられて“ダーマー”(実在の連続殺人犯ジェフリー・ターマーのこと)と呼ばれたりと、ヘダーらしい負け犬っぷりは全開で、そういう意味では期待を裏切らない作り。ダメ男の先輩ベン・スティラーが出演しているのも個人的には嬉しい見どころ。

 で、音楽の話。この映画では“FREE”という言葉が題名に入っている曲が2曲使われている。ひとつはTHE KINKSの『SET ME FREE』で、アマンダとデートにこぎつけたロジャーがスクールの教えに従ってハメをはずしたことをやろうとし、レストランの調理前の生きたロブスターを盗み出して川に放してやるシーンで流れる。ロブスターにとっては、まさにSET ME FREEで笑ってしまう。もうひとつはTHE VINESの『GET FREE』で、これはドクターPがらアマンダを取り戻すための作戦を実行する段階でのフィーチャー。どちらも“自由になりたい”という心の叫び的な歌だが、ここでは自己嫌悪から解き放たれたいロジャーの声のようにも思える。

 ジャケはTHE KINKS、『SET ME FREE』を収録した1965年の2ndアルバム『KINDA KINKS』のUS盤。本国UK盤にはこの曲は未収録。