なるようにしかなりません

　今夏、リアル金八というべき２編の教師と生徒の交流を描いた実話モノが公開される予定で、ひとつはヒラリー・スワンク主演の『フリーダム・ライターズ』、もうひとつはアントニオ・バンデラス主演の『レッスン！』。どちらもスラム地区の荒れたハイスクールが舞台だが、前者はロサンゼルス、後者はニョーヨークが舞台。未来のない生徒たちに体当たりでぶつかり、心を開いていくという展開は一緒だが、前者の教師は文章表現によって、後者は社交ダンスを教えることで、それぞれオチこぼれを導いていく。

　舞台がスラムなので、怠け者の母親の代わりにバイトに精を出したり、男を連れ込む母にウンザリしたり、または親が現役のストリートギャングだったりと、生活環境の劣悪さには、さすがにアゼンとさせられる。そんな彼らが欲する音楽といえば、やはりヒップホップ。となると、こちらは門外漢なので、かかる曲はほとんどわからず。

　唯一わかったのは、『レッスン！』で女生徒が母の愛人に襲われそうになって家を飛び出し、行き場もなく学校の居残り室へたどり付き、そこでひとり踊るシーンでかかる、SLY AND THE FAMILYSTONEの『QUE SERA SERA』。あの有名な曲のカバーなんだけど、アカペラで歌われる“なるようになれ"は、どうにも物悲しく切ない。とりわけ、この状況では。

　とにかく、どちらもウルッとくるところのある、良い映画ではないか、と思います。で、ジャケはこの曲を収めたスライ、1973年のアルバム『FRESH』。これもジャケ最高。

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