Make air not war!

gakus2007-08-21

 10月公開の『エアギター エピソード0』は、素直に“面白かった〜”と言えるドキュメンタリー。世界大会出場に懸ける米国人青年ふたりを中心の行動を追いかけながら、エアギターの魅力存分に見せ付ける一作です。

 フィンランドで毎年行なわれているエアギターの世界大会に向け、2003年、アメリカで初の代表を選ぶ予選が行なわれた。予選を勝ち抜いたのは、キティちゃんの胸当て姿で豪快なパフォーマンスを披露する韓国系アメリカ人、C・ディディ。オーディエンスにメチャクチャ、ウケる、この男が主人公。そして、東海岸予選、アメリカ予選と、立て続けにこの男に敗れたもうひとりの天才肌(?)のエアギタリス、ビヨルントが、もうひとりの主人公で、諦めきれない彼はカンパを募ってフィンランドに乗り込み、現地予選を最高点で突破して決勝に進む。両者とも目標は世界チャンピオン。“何者でもなかった自分が世界の頂点に立てばエアギターを卒業できる”と前者が語れば、“このままでは後悔する”と後者は不屈の闘志をたぎらせる。たかがエアギター、されどエアギター。熱い世界がここにもあった。

 エアギターは色物的な面白さで見ていたし、実際にアメリカでの捉えられ方は、いかに観客にウケるかがポイントとなるようだ。とはいえ世界大会ともなると皆マジで、ウケ狙いはむしろ減点材料になる。しかも、エアギター世界大会の理念は“世界平和”。エアギターをししている手には銃は持てないから、誰もがエアをやれば戦争はなくなる…らしい。エアギターの奥深さを見た気がした。

 さて、そんなエアギタリストのパフォーマンスで使われる楽曲はハードロック&メタル中心で、こっちとしては門外漢だから、MOTORHEAD“ACE OF SPADE”、DAVID LEE ROTH“YANKEE ROSE”程度しか知ってる曲がなかった。が、それ以外の選曲にはなかなか味があって、米国予選当日にはCHEAP TRICKのナンバーが楽しげに鳴り響き、大会が開始されるやSMASHING PUMPKINS“CHERUB ROCK"が対戦ムードをあおり、世界大会の最終予選のシーンではHIVES“HATE TO SAY I TOLD YOU SO"がピリピリした空気を振るわせる。ラストのDAVID BOWIEHEROES"はベタだけど、それでもジーンときたな。

 ジャケはSMASHING PUMPKINS『CHERUB ROCK』のシングル盤、1993年リリース。