帰ってきた元祖ヨッパライ

gakus2008-08-05

 9月に公開される『アルビン/歌うシマリス3兄弟』は、日本ではマイナーだがアメリカでは誰でも知っているリス・キャラ、チップマンクスを映画化したファンタジー・コメディー。アニメ化されているので見たこともある人はいると思うが、今回は実写に合成させれCGアニメのシマリス3兄弟が歌い踊る。作曲家デビッド・セビルが、伐採されたツリーから逃げ出したシマリス3匹チップマンクスの歌の才能に注目し、彼らをスターに育て上げると同時に家族的な絆を育むのだが、レコード会社の強欲な重役が彼らの間に介入する…という話。セビルは実在のミュージシャンで、1950年代にチップマンクスを生み出した人物だが、ここでは売れない三流コンポーザーという設定。

 チップマンクスの歌は録音したテープを早回してピッチを上げ、愛らしくもカン高い声に仕立て上げた、いわば元祖”帰ってきたヨッパライ”というべきもの。今回は中心メンバー、アルビンの声を『ダイ・ハード4.0』でブルース・ウィリスの相棒を演じたジャスティン・ロングが担当している。歌も歌っているのか?ともかく、劇中では彼らの初期のヒット曲”WITCHDOCTOR”はもちろん時代に併せてヒップホップやR&B風の曲も歌っていたりする。

 チップマンクスは50年代以後、”このバカみたいな声でいろいろ歌わせてみよう”と思ったのか、さまざまな企画アルバムを出していて、ビートルズのカバー集を発表したこともある。個人的な意見を言わせてもらえば、このハイピッチの素っ頓狂な歌声が映えるのは、高音の歌い上げモノやシャウトものではないかと思う。たとえば、1980年にリリースした『CHIPMUNK PUNK』は当時のニューウェーブ系ヒット曲のカバー集なんだけど、KNACK"MY SHARONA"のカバーは絶品で、"Mine-ine-ine-ine-ya,hoo!"の部分はいつ聴いても失笑してしまう。

 本作はアメリカでもヒットしたようだが、チップマンクスの今後のさらなるバカ・カバー集を期待したいところ。