チープ・スリル

gakus2009-06-22

 前回のエントリーに続き、8月公開のヨーロッパコープ作品を。日本でもソコソコの成功を収めているジェイソン・ステイサム主演、人気シリーズの最新作『トランスポーター3/アンリミテッド』。

 ステイサムふんするプロの運び屋フランク・マーティンが今回は罠に落ち、車から22.5メートル離れると爆発する腕輪を装着され、あるものの運送を強要される。助手席には謎の少女が、やはり同じ腕輪を装着されている。はたして彼を罠にハメた者(『ブリズン・ブレイク』のティーバックこと、ロバート・ネッパーが、やっぱり悪役に)の目的は?

 格闘の見せ場は前作からやや減少した感があるが、着ていた衣服を脱ぎながらそれを武器にしつつ、ステイサムの肉体美が披露される一石二鳥の見どころがあったり、またカー・アクションが強化されていたり、何かと派手。いつもどおりツッコミどころもあるものの、それを含めて愛おしい。

 何より驚いたのは、過去のシリーズでどんな女性の誘惑も退けてきたフランクが、助手席の少女(ヤク好きのお嬢様で口を開けば食い物の話ばかり)の誘惑に陥落してしまうこと。こんな安い女(このヒロイン、なぜか首の裏に”安”という文字のタトゥーを入れている)に惚れるなんて、何だかなあ。でもそこもツッコめるので良しとしましょう。

 さて、最初にフランクが誘惑されるシーンでかかるのがHOLLY GOLIGHTLY”WHEREEVER YOU ARE”。ダルでビッチな感じのガレージロック。安女の雰囲気に合っていて、妙に納得してしまう。この他、『クリムゾン・リバー2』に続き、STOOGESの"I WANNA BE YOUR DOG"が使用される。エレクトロ・チューンの好きなヨーロッパコープだが、このシリーズに関してはアナクロ・ヒーロー、フランクのキャラに合わせたかのような選曲。

 ジャケはHOLLY GOLIGHTLY、1995年リリース『GOOD THINGS』。ここに収録された”WHEREEVER YOU ARE”、前に何かの映画でも使われていた…と記した記憶があるが、思い出せない。それともう一点、リュック・ベッソンが選ぶヒロインって、たいていの場合、アメリカでは絶体に人気が出なさそうな貧乳・モデル体型の女性ばかりだが、今回もそう。スレンダーなガレージ・クイーン、ホリーもこの路線か。