狂気のDJ感覚

gakus2009-07-09

 『ディセント』が素晴らしすぎたニール・マーシャル監督の新作『ドゥームズデイ』が、全米公開から一年半を経て漸く、漸く9月に日本公開される。

 物語は2008年、新種の伝染病が蔓延したイギリスで、病気のグランド・ゼロであるスコットランドが隔離されるところから始まる。2035年、一旦は沈静化したパンデミック騒動もロンドンで再発生。スコットランドに生存者がいることを確認した政府はタフな女戦士(ローナ・ミトラ)の部隊をかの地に派遣し、血清を手に入れようとする。ところが、世界から隔絶したスコットランドは無法地帯と化しており、人肉食で飢えをしのぐパンクス集団や、中世かぶれのコミュニティが手ぐすねひいて待っている。ヒロインはそこで想像を絶するサバイバルを強いられる…というお話。

 28日後…のバイオザード状態の下で、マッドマックスと化したヒロインがニューヨーク1997に殴りこみをかける…といった感じで、物語は一見、過去の快作アクションのつなぎ合わせにも思えるが、これがハイテンションで連なると爽快このうえない。大胆なリミックス感覚というか、そういうものを持ってマーシャル監督は過去の傑作にオマージュを捧げ、独自の強烈なバイオレンスに仕立てた。『アンダーワールド:ビギンズ』ではなんだか地味だったミトラも、ここではキチ×イ・マックス級に大暴れだ。おそらく今年見た映画の中では3本の指に入る快作!

 で、個人的にエキサイトしたのがやっぱり音楽で、人肉食パンク集団にヒロインがつかまり、”料理”されそうになるシークエンスは一派の祝宴状態で、ADAM & THE ANTSのズンドゴいってるジャングル・ビートの"DOG EAT DOG"(まさしく、共食い)やFINE YOUNG CANIBALS(まさしく、若きカニバル集団)”GOOD THING"、そして人肉料理描写ではsiouxsie AND THE BANSHEES"SPELLBOUND"と、ダークな80年代ポップのつるべ打ち。そして後半、『マッド・マックス2』ばりのカーチェイス・シーンではFRANKIE GOES TO HOLLYWOOD"TWO TRIBES"に乗って、女戦士VS人食い集団の"二つの部族"がGO TO WARするハインテションの見せ場に。一見すると、80年代のUKチャートから引っ張って来た選曲だが、テンションを上げる効果やブラックユーモア込みで、実はよく考えられているんじゃないかな。

 シャケは最近リリースされたフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのCD×2+DVDの3枚組BOX『RETURN TO THE PLEASUREDOME』。DVD欲しさに買ったけど、何気にCDもシングル・バージョンにこだわってくれていて嬉しい。限定盤。

リターン・トゥ・ザ・プレジャー・ドーム(DVD付)

リターン・トゥ・ザ・プレジャー・ドーム(DVD付)