ちょっといいラブストーリー

gakus2009-09-11

 ラブストーリーは苦手な方だが、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演の『理想の彼氏』(11月公開)は意外にシミるイイ話。

 キャサリンは夫の浮気にブチ切れ、二人の子供を連れてニューヨークで新生活を送ろうとしている40歳のシングルマザー。新居の一階にあるカフェで働く24歳のユダヤ系青年(『ナショナル・トレジャー』シリーズでニコラス・ケイジの相棒を演じていたジャスティン・バーサ)もグリーンカード目当ての女性と結婚し、すぐに捨てられた痛手を引きずっている。彼はキャサリンの家のベビーシッターを引き受け、やがて彼女とも心を通わせて恋仲に。キャサリンにしてみれば、子供たちも彼になついているし、とにかく優しい草食系で不満はない。ただ一点、歳の差を除けば…。

 つくりはユーモラスで、キャサリンの子供たちのマセたキャラや、ジャスティンと口うるさい両親とのやりとりなど、笑える部分は多い。それでいて、お話は現実主義的でゲロ甘ではなく、切なくもスッキリ腑に落ちた。よく言えば無添加で大げさではなく、悪く言えばあっけないので物足りなさを覚える人もいるかもしれないが、年齢的なものか(?)濃い味がキツくなってきた自分にはちょうどいい。

 映画の前半で、ジャスティンがキャサリンの娘にせがまれ、寝る前に子守唄を歌うことになるのだが、そこで思い付いて歌う曲がホール&オーツの”EVERYTIME YOU GO AWAY"。子供たちが眠りにつけば、お役ごめんというのは、子供好きの彼にはツラいのかな、と思わせる。そしてラストでは、本家のプレイによる同曲が。ここでは曲の通りラブストーリーにふさわしい使われ方で、ゴスペル風のイントロが鳴った瞬間、グッと来てしまったよ…。

 ジャケはこの曲を収めたDARYL HALL & JOHN OATES、1980年のアルバム『VOICES』。ご存じのとおり、この曲はポール・ヤングが1985年にカバーして大ヒットさせたが、HALL & OATESのバージョンはシングルカットもされておらず、それまで埋もれた名曲だった。ポール・ヤングのニューウェーブ的アプローチも悪くないが、やっばり無添加のオリジナルの方がシビレる。