大英帝国の怖い田舎

gakus2009-09-19

 『ディセント』の影響か、ここ最近イギリス製のスリラーが元気だ。11月公開の『ディセント2』も面白かったし、DVDスルーの『悪魔の椅子』や『JIGSAW デッド・オア・アライブ』も頑張っていた。そんな中でも、来月DVD化される『バイオレンス・レイク』(原題『EDEN LAKE』)は特筆すべき一編。

 都会の裕福な若いカップルが田舎町の湖畔にバカンスへ出かけた。ところが地元の不良少年たちには彼らの存在は目ざわり。そこで彼らはカップルに嫌がらせ。それはエスカレートし、カップルの男の方が殺害される。女の方は必死に逃げるが、口封じを図る少年たちに執拗に追いかけられ…。この女性の極限状態のスリルもさることながら、不良グループの間に生じる葛藤も緊張感たっぷり。殺人にビビって抜けたいと思う者もいれば、それを支配しようとする首謀者格のワルもいる。そんなグループ内の亀裂の深まりがドラマを面白くし、クライマックスではさらに意外な展開に。

 こんな事件が起こるとはつゆ知らず、カップルが映画の前半で立ち寄った寂れたパブではBLACK DANIEL"GIMMIE WAHT YOU GOT"が聴こえてくる。このバンドはロンドンをベースにしており、デジタル加工のグラムロックを鳴らす個性的なグループ。元々グラムロックはいかがわしい響きがあるが、この曲もブギーをルーズに引きずっていて、田舎風の野暮ったさを醸し出すと共に、これから訪れる悲劇を予感させるかのよう。音は小さいが、ゾクゾクさせるぜ!

 ジャケは、この曲を収めたBLACK DANIELのファースト・アルバム『HARD TIMES ON THE WAY』、2008年リリース。

 EDEN LAKEのトレーラー↓

バイオレンス・レイク [DVD]

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