生き急がなくていいんです
人気作家ニック・ホーンビィの脚本に基づく『17歳の肖像』(4月公開)はイギリス製の青春映画。ホーンビィはアカデミー賞で脚色賞にノミネートされ、作品賞でも候補に挙がっているが、現実的に受賞に近いのは主演女優賞か。
舞台は1961年のロンドン。成績優秀な女子高生ジェニーは、ある雨の日に車で送ってくれた年上の男性デビッド(ピーター・サースガード)に興味を抱く。やがて再会して恋心をつのらせ、デビッドもそれに応える。彼の手引きで大人の世界を満喫するジェニー。やがて彼女は志望校のオックスフォード大学を見学するため、デビッドやその友人たちと小旅行に出かけるが、そこで彼の意外な顔を目にすることに…。
ヒロインの”青さ”をリアルにとらえているところがホーンビィらしさ。ティーンが大人の世界を覗き見て深入りし、痛手を負うという物語は目新しくはないが、みずみずしさは捨て難い魅力を放つ。ヒロイン、キャリー・マリガンは実際には24歳だが、10代の心情をナイーブに演じて存在感を見せつけた。とはいえ、彼女の演技が引き立つのは、サースガードや、カタブツの父親を演じるアルフレッド・モリーナ、理解ある女教師にふんしたオリヴィア・ウィリアムズらの好助演があることは見逃すべきではないと思う。
エンドクレジットで流れるのはDUFFYの"SMOKE WITOUT FIRE"。オチに触れるので歌詞については述べないが、ヒイロンの心情を確実に代弁しており、強い印象を残す。ダフィーと言えば、『パイレーツ・ロック』のエンディングでも彼女の曲が聴けたのは記憶に奥に新しい。イギリス映画のトレンドか。
ジャケはこの曲をカップリングしたシングル盤『RAIN ON YOUR PARADE』、2009年リリース。
以下、余談。ピーター・サースガードは何気に今年のアカデミー賞のキーパーソンだ。共演のマリガンはもちろん、妻のマギー・ギレンホールは助演女優賞にノミネート。他の候補者ではメリル・ストリープ、ペネロペ・クルス、ヴェラ・ファーミガと共演経験あり。『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグローとは『K−19』で一緒に仕事をしている。今年最大のアゲチン!?
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