選ばれぬ者

gakus2010-02-12

 バンパイア映画の代名詞といえば今や『トワイライト』シリーズだが、やっぱ男子はこっちでしょう…な『ダレン・シャン』(3月公開)のお話。日本ではコミック化で人気を呼んだ、米ベストセラー小説の映画化です。

 16歳の優等生ダレンの運命は、ある夜、悪友スティーヴとフリーク・ショー”シルク・ド・フリーク”を見に出かけたことで一変。蜘蛛オタクの血が騒ぎ、ショーに登場した珍しいクモを持ちかえるが、このクモに噛まれたスティーヴがこん睡状態に。解毒剤を求めて一座を訪ねたダレンは、一座の面々がハーフ・バンパイアと呼ばれる吸血鬼であると知らされ、その仲間になることを条件に解毒剤を得る。かくして一座の仲間入りを果たすも、その先にはさらに予期せぬ事件が…。

 特殊メイクが異様な渡辺謙ふんする座長、特殊メイクなしでも異様なウィレム・デフオー扮する”将軍”、サルマ・ハエックのヒゲ女などシルク・ド・フリークの面々のキャラは見ているだけで面白いし、ジョン・C・ライリーが主役格のバンパイアというのも何だか嬉しい。ドラマの視点として面白いと思ったのは、”選ばれし者”だけでなく、”選ばれざる者”も描いていること。前者の話はよくあるが、後者(ここではスティーブ。吸血鬼ファンの彼はダレンより先にシルクに志願するが、却下される)の屈折した感情がドラマのキーとなる。そういう意味では、男子的にリアルなジュブナイルだ。

 シルク・ド・フリークのショーが見ていて楽しかったのは、ジェームス・ブラウン"THERE WAS A TIME"がフィーチャーされていたせいもある。狼男が観客の腕を噛みちぎって蘇生させたり、ヘビ男とヘビたちのバンドがパォーマンスしたりのグロおかしいシーンをファンキーに演出。”うっ!”だの”はっ”だののアイの手が入って盛り上がり、見ていて自分も仲間に入りたくなるが、”アルコールとニコチンのせいで血がマズい”と言われて却下されそうだな…。

 ジャケはJAMES BROWN、同曲のライブ・バージョンを収めた1968年の名盤『LIVE AT THE APOLLO』。ちなみに劇中で使用されている"THERE WAS A TIME"はケニー・ドープという方によるリミックス・バージョン。