女の子礼賛

gakus2010-03-31

 最近見た映画の中で、音楽ネタが豊富だなあと感じたのはドリュー・バリモアが初監督に挑んだ『ローラーガールズ・ダイアリー』(5月公開)。1970年代に日本でも人気を博した”ローラーゲーム”を題材にした青春映画の快作!

 テキサスの田舎町に住む17歳の女の子ブリス(エレン・ペイジ)は、”美人コンテストでの実績こそ幸福への近道”と思いこんでいる母に振り回される毎日に疲れている。そんなある日、出会ったのがローラーゲーム。肉体と肉体が激しくぶつかり合う、この女子競技に魅了された彼女は、そのチーム入りを志願して、瞬く間にスターとなるが…。親との葛藤、ライバルとの攻防、恋人とのままならぬ関係など、青春映画の基本を押さえた作りに新味はないが、生活感に確かなリアリティがあり、つい引き込まれてしまう。エレン・ペイジは『JUNO/ジュノ』の屈折少女もチャーミングだったが、今回の真っ直ぐ進もうとするキャラも魅力的。チームメイト役で出演を兼任するドリューや、『デス・プルーフ』のスタント・ウーマン、ゾーイ・ベル、ライバルを演じるジュリエット・ルイス等、脇キャラにも味がある。

 さて音楽談義。まずロック好きなら誰でもときめくのが、ヒロインが最初にローラーゲームを目にするシーンでフィーチャーされるRAMONES”SHEENA IS A PUNK ROCKER"。女の子の世界、それもとびきり攻撃的なものであることをここで高らかに宣言。ブリスがローラースケートの練習をするシーンで流れる38スペシャル"CAUGHT UP IN YOU"も久しぶりに聴いたが妙味。熱烈なラブソングで女の子礼賛的な歌詞である上に、サザンロック特有の気どりのなさがドラマのテイストにハマッた。時代的には古臭いが、テキサスならアリかなあと思わせるナイスなセレクト。さらにクライマックスの試合、前半部ではBREEDERS”CANNONBALL"が流れ、ローラースケートで突進するキャノンボール・ギャルを応援する。

 舞台が現代なので、現役のバンドによる提供曲も豊富。ブリスが草原でバンドマンの色男とイチャつき、ロマンスのムードを高めるシーンではTHE RAVEONETTES"DEAD SOUND"が聴こえてくるし、クライマックスではギャル応援歌、GO! TEAMの”DO IT RIGHT"が鳴り響く。他にも米インディからKINGS OF LEON、英ダンス。ミュージックからGOOSE等の先鋭的なサウンドを起用。音楽的なときめきどころは、人によって異なるでしょう。

 ジャケは、やはり自分が10代の時に聴いてときめいた38 SPECIAL。1982年のヒット曲"CAUGHT UP IN YOU"を収めた『SPECIAL FORCES』。

 このトレーラーで聴けるWEEZERは劇中ではなかったなあ…。