ある意味、愛こそすべて
先週末の全米興行チャートでナンバーワンに輝いた『ソーシャル・ネットワーク』(2011年1月公開)は、FACEBOOKの創始者マーク・ザッカーバーグの栄光とその裏側を描いた実録ドラマ。『ベンジャミン・バトン/数奇な人生』に続くデビッド・フィンチャー監督の新作で、今回も賞レースを賑わせるのではと思えるほど、力のあるドラマとなった。
ハーバード大学の学生ザッカーバーグ(『ゾンビランド』に続いて童貞全開のジェシー・アイゼンバーグ)は上級生の学内ネットワークのアイデアにヒントを得て、ルームメイトである親友エドゥアルド・サベリン(新スパイダーマン俳優アンドリュー・ガーフィールド)と学校内のソーシャルネットワークを開発。これはたちまち大学内で評判となり、ザッカーバーグは他のキャンパスにもネットワークを広げる。それは自分を振った、別の大学に通う女の子に認めて欲しいという一念から始まったことだったが、それは米国を超えて一大ネットワークへと成長。しかし、一方で友情や学内の仲間意識に確実にヒビが入り、それは訴訟へと発展してしまう…。
物語はザッカーバーグら関係者が訴訟の席でFACEBOOK黎明期を回想するスタイルをとって展開。フィンチャーはザッカーバーグを共感の抱ける人物として描く気がサラサラなくて、プライドが高く、好きな女の子の前でもそれを振り回して気を引くことしかできない。当然、交渉事も苦手で、ビジネスパートナーになりたい交渉相手にも無礼な口をきき、エドゥアルドを困らせる。こんな友達になりたくない人物が、友達作りサイトを創設したという皮肉。そんなイヤなヤツではあるが、こんなにボロボロになっても昔の女の子のことを思っているという設定に、憎めないのものを感じる。ともかく、ザッカーバーグ本人が本作を見て困惑したという逸話も理解できるような気がする。
個人的な本作最大の驚きは、ラストで流れるビートルズ”BABY YOU'RE RICH MAN"。ビートルズ・ナンバーの使用権利の高さが他の楽曲に比べて図抜けて高いということは以前から記しているとおりで、カバーならともかく、ビートルズの演奏による楽曲が使用されることは極めて稀。ここ10年では『オー!マイ・ゴースト』(2009年7月18日のエントリー参照)ぐらいしか、使用例は記憶にない。今回は鬼才フィンチャーだから、スタジオも奮発したのか!? それはともかく、この曲がドラマに風刺のスパイスを効かせているのは間違いなく、”ビューティフルな人種の仲間入りをするのはどんな気分だい?…あんたはリッチ・マンだもんな”というフレーズがピリッとシミてくる。
ジャケはこの曲をB面に収録した”愛こそすべて”の国内盤7インチ。コレ、前も載ったけかな…。
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