赤いトワイライト

gakus2011-03-30

 昨日取り上げた『エンジェル ウォーズ』の主演の座を降板したアマンダ・セイフライドが、代わって選んだ『赤ずきん』(6月公開)。皮肉なことに、これまた全米で(とりわけネットユーザーに)酷評されているのだが、広い心で見れば”こういう作品を欲している人もいる”と思えなくもない。

 タイトルどおり、有名な童話『赤ずきん』を改編し、スリラーに仕立てた本作。アマンダは雪深い村に住む、昔、昔の女の子を演じる。この村は人狼によって平和が脅かされており、真っ赤な満月が頭上に上った夜、ついに村人が人狼に惨殺されるという悲劇が起こる。さらに衝撃的なことに、人狼は昼間は人間に姿を変えている事実が発覚。つまり、この村に人狼が潜んでいるのだ。アマンダは両親が決めたフィアンセと、本当に愛している青年との間で揺れ動き、また祖母の異変に神経をとがらせながら、この危険な状況を生きることになる…。

 ストーリー的には面白そうに聞こえるかもしれないが、『トワイライト/初恋』の女流監督キャサリン・ハードウィックが監督を務めるとなれば、ミステリーよりもロマンスに重点が置かれるのは必然的で、恐怖色よりもゲロゲロに甘いテイストが先に立つ。つまるり男子のワイルドな要望に応えるものではなく、女子のロマンに反応する作品である、ということ。自分としては、アマンダの出演作では『マンマ・ミーア!』に続く”女子エクスプロイテーション映画”と位置付けたい。

 昔、昔のお話ではあるものの、狼を退治した村人たちの宴の場面ではエレクトリックな呪術的ダンス・ナンバーがフィーチャーされる。これはFEVER RAYなるスウェーデンのバンドの楽曲とのこと。美しい風景が北欧ちっくであることを思えば少しは納得がいく。

 エンドクレジットで流れるのは、THE BIG PINK"CRYSTAL VISIONS"。4ADレーベルの最近のバンドで、いわゆる”ニューゲイザー”に分類されているアーティストだ。これも幻想的な雰囲気重視といった感じなのだが、女子エクスプロイテーション映画では何より雰囲気が大切とされのだから、これはコレでアリだろう。

 ここまで書いてみて気持ちが入っていない自分にふと気付いたが、女子じゃないから許しておくれ…。とにかく、『トワイライト』好きの方ならば楽しめると思います。

 ジャケはTHE BIG PINK、2009年リリースのアルバム『A BRIEF HISTORY OF LOVE』。"CRYSTAL VISIONS"はこのアルバムのオープニング・トラック。

赤ずきん ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]

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