80年代を笑う

gakus2005-07-06

 はてなダイアリーでも人気のある映画評論家の町山智浩氏(id:TomoMachi)が、TBSラジオの『コラムの花道』で話しておられましたが、アメリカでは往年の人気バンドを再結成させる企画番組が放映されているとか。彼らを再結成させるための説得・交渉から再び集まってプレイするまでを追うのドキュメントで、これまでフロック・オブ・シーガルズカジャグーグー、ベルリン、スキャンダルなどなど、懐かしいバンドが登場したそうです。フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドは、フロントマンの二人が過去の遺恨を引きずっていたせいで、再結成には至らなかったが、番組ではその交渉や対面の様子までしっかり見せたとのこと。日本でも放映してくれないものか…。

 で、フロック・オブ・シーガルズ。イギリス、リバプールから飛び出した4人組…と聞いて、このバンドを真っ先に想像する人は200パーセントいないと思う。本国では不発だった『I RAN』という曲が、なぜかアメリカでバカ売れしてしまったバンドで、その後『SPACE AGE LOVOSONG』『WISHING』が余勢を駆ってビルボードのチャートでトップ40入りしたが、基本的には一発屋扱いされている。当然、一発屋という言葉には嘲笑的な意味合いも含まれているが、このバンドの場合、ボーカルの大胆な髪型も、その対象となってしまった感がある。下がバンドのフォト。どの人がボーカルかは一目瞭然ですね。

 「オースティン・パワーズ デラックス」でも、それがギャグにされていて、事件を解決して90年代から60年代にタイムマシンで戻ろうとする、ヘザー・グラハムふんするヒロインに、我らがオースティンは“70〜80年代はオイルショックとフロック・オブ・シーガルズだけで、つまらないから90年代に残ろう"と言っていたり(日本語字幕では、さすがにフロック・オブ・シーガルズ知名度が低いせいか「かもめのジョナサン」と訳されていた)。ちなみにこの映画では、ドクター・イーヴルが自身の邪悪な計画に“アラン・パーソンズ・プロジェクト"と名づけ、息子スコットに“それなら<オペレーション・ワンチャン>とか<オペレーション・バナナラマ>にした方がマシだ”と言われている。

 当時を知る人間には大笑いだが、一方で複雑でもあったり。というのも、フロック・オブ・シーガルズ、当時けっこう好きだったからなあ。『I RAN』が入ってるバンド名を冠した1stアルバム(写真)は今も手放せずにいる。この曲がヒットした1982年当時、イギリスはエレクトロポップ全盛期で、このバンドもその範疇に組み込まれたが、改めて聴き直すと、これはギターバンドの音ですよ。シンセを大々的に導入したのは2nd以降だ…と力説したところで、誰も興味ないか…。