ストーカーもビーチ・ボーイズを歌う

gakus2005-08-06

 「宇宙戦争」ではトム・クルーズが、ダコタ・ファニングの恐怖を和らげるためにビーチ・ボーイズの『LITTLE DUCE COUPE』を歌ってあげていたが、イギリス映画「Jの悲劇」(10月公開)ではリス・エヴァンスビーチ・ボーイズの『GOD ONLY KNOWS』を口ずさんでいた。

 「Jの悲劇」は「ノッティングヒルの恋人」「チェンジング・レーン」のロジャー・ミッチェル監督作で、イアン・マキューアンの小説を映画化したサスペンス。気球を事故から救おうと、その場に居合わせた見ず知らずの人々とともに気球にしがみついた大学教授。その際に死亡者が出たことから、彼は自責の念にとらわれるようになる。そんな彼に、同じ気球事故の現場にいた謎の男がストーカーのようにつきまとい…。

 この得体の知れないストーカー男にふんするのがリス・エヴァンス7月14日の日記で、オアシスの新曲のビデオに葬儀屋役で出演したことについて記したが、ここでも怪優ぶりを発揮し、主人公をジワジワと狂気に追い込むキャラを好演している。“君が僕を捨てたら、僕は生きていけるるのだろうか”という歌を、ニヤニヤしながら口ずさみ、主人公に近寄ってくる不気味さといったら。はっきりいってホラー映画に出てくるシリアルキラーよりも怖い。

 この曲を収録したビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』は以前、一度ジャケを乗っけているので、今回はパス。代わりに、昨日に続いてデビッド・ボウイのアルバム、1984年リリースの『TONIGHT』を。ここでボウイは『GOD ONLY KNOWS』をカバーしている。ビーチ・ボーイズより先に、このバージョンで『GOD ONLY KNOWS』を知ったという人は、30代の方に多いのでは。ボウイのアルバムの中では評価が低いが、このおかげでイギー・ポップやリーバー=ストーラーを知った。そういう点も含めて、決して嫌いになれないアルバムです。