素敵な3人組
昨夏に全米でスマッシュヒットしたコメディー「WITHOUT A PADLE」が「トレジャー・ハンターズ」という邦題で、11月に漸く日本公開される。
「リトル・ニッキー」などのアダルト・チルドレンをギャグにしたコメディーで評価されたスティーブン・ブリル監督による本作は、30歳を目前にした再会した幼なじみの3人組が、亡き親友の遺志を継いで宝探しに出かけることを決意、“バカをやるには最後のチャンス"とばかりに煮え切らない日常から逃げ出して大自然の中に飛び込んでゆく…という物語。セス・グリーン、マシュー・リラードという、大人になれない大人を演じさせたら、これ以上ないといえる俳優を起用して、ノーテンキな冒険をつづっている。
使用されるナンバーは多彩で、70〜90年代のロックのヒット曲・名曲がギッシリ。オープニング、FACESの『OOH LA LA』で、まず引き込まれる。この曲は結末近くに再びフィーチャーされる。のどかな空気感と哀愁を併せ持つ、ナイスなセレクト。
主人公3人組が幼いころによく聴いたCULTURE CLUB『DO YOU REALLY WANT TO HURT ME』が夜キャンプをしているときにラジカセから流れてくると、こんな会話が。
“今、聴くと結構ダセえな”
“でも、何だかホッとするんだよ”
趣味を共有していた幼馴染み同士の会話ゆえに、ウンウンと頷いてしまいたくなる味なやりとり。ちなみにこの曲は、後にアイテムとして彼らの危機を救うことに一役買うのだが、そのシーンは笑えた。
3人組は山奥で悪党コンビに遭遇し、そのマリファナ畑を目撃してしまったことから、命を狙われる。悪党コンビは狂暴な番犬を2匹飼っているが、その犬の名はレイナードとスキナード。言うまでもなく、サザンロックの代表であるLYNYRD SKYNYRDからとられたもの。このバンドのリーダーであるロニー・バン・サントの弟、ドニー・バン・サント率いる1980年代に活躍したグループ、38 SPECIALの曲も使用されていた。この悪党コンビは、ゴツゴツしたサザンロックを好んでいるようだ。
火のついたマリファナ畑を逃げまわっているうちに、主人公3人組は煙でラリってしまう。そこで流れてくるのがTHE ROLLING STONESの『CAN'T YOU HEAR ME KNOCKING』。笑った。この曲を収録したアルバム『STICKY FINGERS』にはブルースのカバー『YOU GOTTA MOVE』が収められているが、この曲の別人によるカバーも3人組が途方に暮れているシーンで流れてきてニヤリとさせる。
思いつくまま音楽ネタを列記したけれど、90年代ネタはラップやミクスチャー系が出てきていた模様。そちらは詳しくないので割愛。ジャケは、2度フィーチャーされることに敬意を表して『OOH LA LA』を収録した、FACES、1973年の同名アルバム。そういえば、この歌は「天才マックスの世界」のエンディングでも流れていたが、あれは泣けた…。
- 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- 発売日: 2006/01/27
- メディア: DVD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (6件) を見る