素敵な4人組

gakus2005-09-23

 先月、全米でナンバーワン・ヒットとなったジョン・シングルトン監督の復讐劇「フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い」の日本公開が、急遽11月に決定した。

 札付きの不良少年だった子供時代に、一人の女性に引き取られて育った4人の男たち。白人2人、黒人2人だが、兄弟のように育てられ、固い絆で結ばれた彼らが育ての親の急死によって再会。何者かに“処刑”されたらしい“母”の仇を討つため、雪降る真冬のデトロイトで奔走を繰り広げる。4人の怒りと悲しみを前面に押し出したエモーショナルな作りなので、観ていてアツくなる。狂犬のような長男格を演じるマーク・ウォルバーグの暴れっぶりは最高。

 音楽面ではデトロイトという設定がミソで、この地から飛び出したモータウン・レーベルのオールド・ソウルが詰め込まれている。実際、4人が育った家のポータブル・プレイヤーにはモータウンの45(シングル盤)が乗っけられていた。(JACKSON 5の『DANCING MACHINE』? 要確認)

 “母”の葬儀のシーンで流れるのはマーヴィン・ゲイ/MARVIN GAYEの『TROUBLE MAN』。クールで悲しげなファルセット・ボーカルが妙味。マーヴィンは他にも『INNERCITY BLUES』などが使われていた。テンプテーションズ/TEMPTATIONSの『CLOUD NINE』『I WISH IT WOULD RAIN』『PAPA WAS A ROLLING STONE』などは場面転換のシーンにフィーチャーされ、映画をタイトに引き締めている。また、4人がアイスホッケーをプレイするシーンではFOUR TOPSの『SHAKE ME, WAKE ME』が流れ、この映画の数少ないポジティブなエネルギーがほとばしるシーンを引き立てる。そういえば、あまたのモータウンサウンドが起用されているにもかかわらず、その最重要人物というべきコンポーザー・チーム、ホランド=ドジャー=ホランドのナンバーはこの曲だけだった。H=D=Hのポップ・センスよりも、よりファンキーでソウル寄りのナンバーを多めにチョイスしたことが、この映画のアツさの一因となっている。

 とはいえジャケは、やはり4人組で…と、FOUR TOPS『SHAKE ME, WAKE ME』収録の1965年のアルバム『ON TOP』。これはイカすジャケ。