さわりたい?

gakus2005-09-30

 ハードコア・ポルノの元祖にして、史上最高の興行収入を上げた映画といわれる「ディープ・スロート」。1972年に公開された、この映画が社会にどれほど大きな影響をあたえたかを検証する「インサイド・ディープ・スロート」は、なかなか見ごたえのあるドキュメンタリーでした。

 結合部分を堂々と見せる「ディープ・スロート」が当時の社会に投げかけた影響は大きく、エロ親父から文化人まで多くの観客を動員し、さらに女性の性への積極性を描いたことでフェニズム方面にもアピール。この熱狂はワイセツ犯罪騒動にまで発展し、ジェラルド・ダミアーノ監督は逮捕され、主演のジョン・ホームズは有罪判決を受けるなどの大騒ぎ。一方で、ハードコア・ポルノは一気に産業化したあげく映画からビデオへとメディアを移行すると同時に、映画館でヤバいものを見る独特のスリルは失われる。規制があったから盛り上がれたものが、規制がなくなるという本来であれば喜ばしい出来事によって逆に萎んでゆく。祭りの後の枯野。そんな哀愁は「ブギーナイツ」に通じるものがある。

 祭の続いた1970年代という時代を反映し、劇中の曲も当時のヒット曲。「ディープ・スロート」からの音楽はもちろん、クール&ザ・ギャングのファンクもゲイリー・グリッターのグラムロックもいかがわしくてイイ感じ。とりわけ、後者の『DO YOU WANNA TOUCH ME』は、ギターのリフやコーラスに品のないのがよくて、“YEAH OH YEAH”のコーラスが何度となくリフレインされ、「ディープ・スロート」ができるまでの過程を盛り上げてみせる。

 ジャケは、このデザインからして著しく品がないゲイリー・グリッターのベスト盤。これをはじめとする代表曲をほとんど網羅しており、定番『ROCK’N’ROLL』ももちろん収録。これも最近、他の映画で聴いたが、さて何だったか…。

インサイド・ディープ・スロート [DVD]

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