アクロス・ザ・ボーダーライン

gakus2005-10-19

 「逃亡者」や「メン・イン・ブラック」などでおなじみの演技派俳優トミー・リー・ジョーンズの初監督作「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」が、今週末から開催される東京国際映画祭で上映される。カンヌ映画祭で2部門受賞を果たし、すでに海外で高い評価を受けている力作。製作プロダクションは、なぜかリュック・ベッソンのヨーロッパコープ。

 ジョーンズ自身がふんするカウボーイが、親友のメキシコ人の死に遭遇。このメキシコ人を図らずも撃ち殺してしまった国境警備隊員(バリー・ペッパー好演)を探し出し、メキシコへと向かう贖罪の旅へと連れ出す。国境を越えるのは楽ではないが、異文化への偏見を克服するのが難しい人もいる。それを超越する相互理解が、淡々とした旅を通してみえてくる。

 テキサスが舞台でカウボーイが主人公となれば、これはもうカントリーとテックス・メックスが主体。このジャンルには疎いので、どんなアーティストが使われていたのかは明確には覚えていないが、出演もしているドワイト・ヨーカムのナンバーは使われていたらしい。ペッパーの妻が退屈つぶしに足しげく通うダイナーではブルースも流れていた。

 ジョーンズとペッパーの旅は、故人の故郷であるヒメネスという村に向かうもの。だからというわけでもないだろうが、フラーコ・ヒメネスの曲もフィーチャーされている。メキシコ音楽の代表格といってよいヒメネスだが、ここで使用される『THIS COULD BE THE ONE』はアメリカンポップス風のテイストながら、彼のアコーディオンの音色が、らしい色を出した好ナンバー。ペッパーの妻と、生前のメキシコ人がモーテルで踊るときに流れるが、異文化同士の交流が、この音楽からも伝わってくる。

 ジャケは、この曲を収録した2000年のアルバム『SLEEPYTOWN』。なんとビートルズLOVE ME DO』のカバーまでやっちゃってます。