how soon is now?

gakus2007-02-01

 アカデミー賞の本命とみなされているアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(『アモーレス・ペロス』『21グラム』)の『バベル』(4月公開)は、なるほどの力作。モロッコと米国=メキシコ国境、東京の3か所を舞台に、一挺のライフルの存在で結び付けられた人々の孤独を抉り出す。東京編ではアカデミー助演女優賞にノミネートされて話題となっている菊地凛子が、これまたなるほどの頑張りでした。

 彼女がふんしているのは、ろうあの女子高校生で、母が自殺して父(役所広司)とふたりで暮らしているという設定。愛情の渇望がノーパンになったり、全裸になったりなどの大胆な行動で表われされている。彼女が唯一笑顔を見せるのは、友人や町で出会った若者たちと戯れている箇所だけ。笑顔のままはクラブに遊びに行き、何も聞こえないながらも照明やフロアの視覚的情報からビートをとらえ、踊りだすのだが、友人が男と抱き合いキスしている姿を見て孤独な現実に引き戻される。このシーン、フロアで流れているのがFATBOY SLIMの『THE JOKER』のリミックス・バージョン。彼女の心情と重なるかのようにときどき音が途切れてブランクが入るが、激しいリズムと静寂のギャップが味となっている。

 ジャケは、このバージョン(ATFCS ACES HIGH REMIX)を収録した2005年リリースのシングルCD。

バベル プレミアムエディション [DVD]

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