70年代検証その2

gakus2009-03-18

 これまたアカデミー賞ノミネート作品で、ショーン・ペンが主演男優賞の栄冠に輝いた『ミルク』(4月公開)の話。

 ゲイであることを公言して、米国で初めて公職に就いた活動家ハーヴェイ・ミルクの生涯は、その名を冠したドキュメンタリー映画でも語られたが、この『ミルク』はガス・ヴァン・サントによるドラマ化。1970年代のサンフランシスコでゲイのコミュニティを築き、同性愛者を虐げる保守的な風潮と闘ったミルクが、保守派の市議に殺されるまでのお話。作り手の意識がハッキリと反同性愛の風潮への反抗に向けられていて、本気度を感じさせるという点で、『マルコムX』を連想させる。米国で論議を呼んでいる同性婚への風当たりゆえか。とにかもかくにも、ガス・ヴァン・サントが”本気で”この映画を作ったことに疑問の余地はない。

 そんな本気を反映するかのように、ミルクの選挙事務所ではPATTI SMITHkの闘争ソング"TIL VICTORY"が鳴っていて、いやがおうにも燃えてくる。70年代の革命の機運などというと大げさだが、はっきり"否"を突き付ける、この意気込みにシビレた。ただし、ミルクの人好きのする性格の描写のおかけで、そこらへんの刺々しさはマイルドになっている。

 "TIL VICTORY"を収めたパティ・スミスの名盤『EASTER』のジャケは以前のっけたので、今回はこの曲を収めたCBGBのドリビュート・アルパムを。2007年リリース。