20年後のコラボ
今年のゴールデンウィーク最大の話題作といえば、ティム・バートンの『アリス・イン・ワンダーランド』。19歳になった”不思議の国のアリス”が、再び地下のワンダーランド(正しくはアンダーランド)を再訪。独裁者となった赤の女王の圧政から住人たちを救う、救世主として指名される…というストーリーそのものには新味がないが、相変わらずのイマジネーション豊かな映像が3Dで楽しめるとなれば、一見の価値はあるのかもしれない。ただ、ディズニー製作のせいか、いつもの毒気が薄いんだよなあ。ジョニー・デップのマッドハッターなんて、もっと”マッド”でもいいのに。
それはさておき、マッドハッターが笑っている右の画像は、正規サントラのジャケではなく、この映画にインスパイアされた楽曲を集めたオムニバス盤『ALMOST ALICE』。収録曲のうち、映画の中で聴けるのはアヴリル・ラヴィーンの”ALICE"だけ(エンドクレジットでのフィーチャー)。参加16アーティスト(国内盤は18アーティスト)のうち、”へぇー”と思ったのは、そりゃあもうロバート・スミス。THE CUREのフロントマンである、あのお方であります。
ずいぶん前、『シサーバンズ』のDVDの特典映像を見ていて、当初ティム・バートンは、この映画のスコアをロバート・スミスに依頼していたことを知った。が、当のスミスはレコーディングで忙しく、断ってきたという。そこでバートンは仕方なく、盟友ダニー・エルフマンに音楽を頼む。結果的に、これが吉と出たのは、映画を見た人ならば納得がいくだろう。『シザーハンズ』が泣ける映画となったのは、あの音楽の威力が大きかった。とはいえ、もしロバート・スミスが音楽を手がけていたら、どんなだったか…と想像を膨らませるのは、ロック好きとしては楽しいことでもある。ともかく、この時は、ロバート・スミスからのこの映画への影響は、ジョニー・デップふんする主人公エドワード・シザーハンズの髪型のみにとどまった。
で、それから約20年を経て実現した、今回のロバート・スミスの楽曲参加。THE CURE名義の曲以上に浮遊感を感じさせ、ポワンポワンとした(なんだ、そりゃ)雰囲気。シュールな不思議ちゃんポップとでも言いましょうか。とにかく、今回の映画以上にヒネクレを感じさせるのは間違いない。
このアルバム、他にもフランツ・フェルディナンド、メトロ・ステーション、ウルフマザー当たりも参加していて、ロック・ファンにも聴き応えがある。
- アーティスト: オムニバス,プレイン・ホワイト・ティーズ,マーク・ホッパス with ピート・ウェンツ,ケルリ,フランツ・フェルディナンド,モーション・シティ・サウンドトラック,ウルフマザー
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