彼女がキターッ!

gakus2012-02-07

 今週末に日本でもいよいよ封切られるデビッド・フィンチャー版『ドラゴン・タトゥーの女』。原作も読んだし、スウェーデン映画版も見ていて、犯人もオチも知っていたけれど、それでも吸引力は相当なもの。撮る人が撮ると、やっぱ凄い映画になるんだねー。

 大実業家一族の長の依頼で、40年に起きた一族の少女失踪事件の真相を探ることになる雑誌記者ミカエル(ダニエル・クレイグ)。彼の奔走と併せて、のちにその調査を手伝う社会不適格な女の子リスベット(ルーニー・マーラ)の天才的なハッカーぶりや、保護司から受ける性的暴行、それに対する逆襲が描かれる。スウェーデン映画版に比べると原作に忠実で、それゆえリスベットの強靭さが、より強く印象に残る。そういう意味では、原作のタイトル『ミレニアム』を映画に付けなかったのは正解。

 個人的に驚いたのは、原作ではシリーズ2作目でミカエルが知ることになる、リスベットの秘密(=12歳の時の”最悪の出来事”)を、今回の映画では早々とミカエルが知ることになる点。ハリウッドでも原作『ミレニアム』は三部作での映画化を想定されているが、”次”を撮る人にはハードルが上がったんじゃないのか!?

 音楽的には、予告編でも使用されているカレン・Oが雄叫びを上げるレッド・ツェッペリンのカバー”移民の歌(IMMIGRANT SONG)がオープニングクレジットのイメージ映像に重なり、強烈なインパクトをあたえる。インパクトという点では、エンヤの”ORINOCO FLOW ”も印象的であるのは方々で語られているとおり。クライマックスのいたぶりシーンで、いたぶる側の人がオーディオからこのクラシカルな曲を流すのだから、かなりの変態とみた。

 さらに耳に引っかかったのが、エンドクレジットで流れるHOW TO DESTROY ANGELS なるバンドによる、ブライアン・フェリー"IS YOUR LOVE STRONG ENOUGH"のカバー。フェリーのオリジナルはリドリー・スコット監督、トム・クルーズ主演『レジェンド/光と闇の伝説』の米国公開バージョンのエンドクレジットで使用されていたが、その印象とだぶる。それはともかく、誰も知らない秘密まで打ち明けたリスベットのミカエルに対する愛情が”ストロング・イナフ”であるのか、否か? そんなことを考えながら聴いていると、こちらも印象度が強くなる。

 そういえば、先日フィンチャーに取材した際、音楽の話を訊いたんだけど、この"IS YOUR LOVE STRONG ENOUGH"の使い方について、エンドクレジットから流すか、ラストシーンからエンドクレジットへのブリッジとして使うか迷ったあげく、前者にしたとのこと。そこまで考えてるんだね、この御方は。となると、『ファイト・クラブ』(ピクシーズ)、『ソーシャル・ネットワーク』(ビートルズ)なんかも迷ったあげく後者になったのだろうか…。

 ジャケはBRYAN FERRY、この曲のUKシングル盤、1986年リリース。