普通の男の子奮闘

gakus2004-11-10

 THE JAMの再来(今までどれだけのバンドがそう呼ばれてきたことか…レディオヘッドだってデビューのころの売り文句は、そんなだった)と言われているオーディナリー・ボーイズ/THE ORDINARY BOYSの来日公演を、渋谷のO-Eastで観てきました。

 実は動いているこのバンドを見るのは初めてで、メンバーの顔も正直よくわからなかったが、実物を見て名前のとおり普通の男の子たちだなあ、と。ボーカルの子の髪型は、もろJAM時代のポール・ウェラーオーシャン・カラー・シーンのサイモンが、という雰囲気。アルバムでは『LITTLE BITCH』をカバーしていたけれど、MADNESSのナンバーに乗って現われることからもスカ好きなんだろうなあ。これはTHE JAMとは微妙にズレたセンスかも。

 それはともかく『THE LIST GOES ON』で始まったステージは、なかなかパワフルでスピード感もある。が、ウワサには聞いていたけれど、ドラムはリズムキープもままならず、拍子が変わると音符が一拍多くなるもたれっぷり。それでもギターのリフは乱れずスルッと聴かせてしまうのは、バンドの一体感と勢いのなせる技か。『WEEK IN/WEEK OUT』はもちろん、T-REX風の『HAND IN HAND』もギターのリフががっちりキマる。こういうのは聴いていて気持ちよい。

 ボーカルはしきりに“サイコー、サイコー"を連発していたが、その普段着スタイルと社交性ゆえ、“イイヤツなんだろうなあ”と思わずにいられないキャラ。観客の中にラモーンズのTシャツを着ている子を見つけ、“ラモーンズ、サイコー"と言って、いきなり『KKK』を演奏し始めたのは嬉しいハプニングだった。その直後に演奏した『(LITTLE)BUBBLE』は、けっこう好きな曲で、こういうミドルテンポのナンバーをしっかり演奏できるのは正直驚き。張りのあるボーカルは色気さえ感じさせ、独特の味があることを発見。

 『OVER THE COUNTER CULTURE』『LITTLE BITCH』『MAYBE SOMEDAY』など盛り上がり必至のナンバーは、やはり凄まじいものがある。ボーカルはギター弾きながらピョンピョン飛びはね、まさにウェラー状態。欲をいえば、『MAYBE SOMEDAY』はも少しテンポアップしてくれてもよかった。レコードで聴くより遅いぞ。

 アンコールの『SUMMERTIME BLUES』まで一時間弱。久々に若さあふれるライブを満喫。この若さはJAMも含めた、いわゆるMODS的なるモノへの憧れがハイテンションで発露したものだろう。普通っぽさが今は逆に、そのエネルギーゆえ凄みに転化しているけれど、このバンドが今後伸びていくためには憧れを突破したオリジナル性が必要になってくるだろう…と、オーディエンスの平均年齢を間違いなく上げていた一観客は老婆心のごとく思うのでした。まだアルバム一枚しか出していないバンドだし、今後の展開は楽しみです。

 ジャケは『(LITTLE)BUBBLE』を収録したCDシングル『TALK TALK TALK』。終演後、Mocker!さんとも話したけれど、このバンドはシングル表題曲のカップリングにも良い曲が多い。


オーヴァー・ザ・カウンター・カルチャー

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