電気ブリキは立身出世の夢を見る

gakus2005-06-07

 CGアニメーション「ロボッツ」(8月公開)は、大人も楽しめるファンタジー。泣きそうになるシーンもあって、個人的にはお気に入り。ロボットだけが住む世界を舞台に、旧式ロボットの家に生まれた若いメカが、アップグレードで大もうけを企み、旧式を一掃しようとする新式ロボットの陰謀に立ち向かう。90分という短い時間ながら、テンポがよくて、終わってみれば、アッと言う間。ピタゴラ・スイッチのロングバージョンを観ているような気もした。

 主人公一家はいわゆる労働者階級で、父親はレストランで皿洗いの仕事をしている。この店で、いきなりGOMEZの『SILENCE』がガーンと流れている。タイトルとは裏腹に、ポップではあるがギターノイズが響いている、この曲のフィーチャー。イギリスのインディー・バンドのナンバーが、ハリウッドのメジャースタジオの作品に使われていることに、まず驚き。ギターバンドといえば、FOUNTAINS OF WAYNEの『TELL ME WAHT YOU ALREADY DID』が、旧式ロボットたちの反撃作戦の進行中に気持ちよく響いていた。

 トム・ウェイツの『UNDERGROUND』は、薄暗い工場のシーンでの起用。日の当たらない場所に、この人の歌ほど合うものはない。そういえば、おなじCGアニメ「シュレック2」ではバーのシーンで、トム・ウェイツの曲が流れていた。

 フィナーレは、ジェームス・ブラウンの『GET UP OFFA THAT THING』。一般的に低調といわれる1970年代後半のJBのナンバーのなかでも、数少ないヒット曲のひとつ。これが劇中でジャズとファンクをかけあわせたアレンジで響き、さらにエンドクレジットで御大自身の歌に変わる。そういえば、同じFOX製作の「ガーフィールド」もエンディングはJBだった。エンディングの、超ファンキーな盛り上げは、ファミリー・ムービーのパターンとして確立されつつあるのだろうか。

 ジャケはそのJB、1976年のアルバム『GET UP OFFA THAT THING』。当時流行しつつあったディスコ・サウンドに負けじと、俺流ファンクをかます気合いの入った一枚。この時代のJBも、個人的には嫌いじゃない。