元祖スケーターロック

gakus2005-09-05

 ドキュメンタリー映画「DOGTOWN & Z-BOYS」で紹介された、1970年代LAの伝説的なスケーター・チーム、Z−BOYS。そのメンバーである若者たちの成功と挫折を、ドラマとして描いた「ロード・オブ・ドッグタウン」が、この冬お正月映画として公開される。

 スケートボードの妙技によって革新的なスタイルを生み出し、スターとなった若者たち。しかし、それぞれの生き方の違いは友情の破綻を引き起こすことになる。そんな成功の光と影をまざまざと見せつけつつ、それでも失われことのないスケボー熱と絆を浮かび上がらせる。細部に描きこみ不足の不満はあるものの、アツさは十分伝わる愛すべき青春映画。

 音楽はやはり当時のヒット曲が中心で、いずれもギターのノイズで押す、かなりヘビーなナンバー。ジミ・ヘンドリックスやオールマン・ブラザース・バンド、イギー・ポップ、ディープ・パープルなど、いずれもパンク以前のアーティストだが、この映画の流れで聴くとどれも凶暴で、現在のスケーターロックに続くパンクの萌芽がこの時点で芽生えていたことが、わかりやすいほどよくわかる。

 とりわけインパクトがあるのは路線からは外れるが、エンドクレジットで使用されるLAパンクの雄、SOCIAL DESTORTIONの『DEATH OF GLORY』で、ご存知、THE CLASHのカバー。流れ的に異質な選曲ではあるが、情熱と商業主義のギャップを歌ったこのナンバーは、映画の主人公たちにはまりすぎるほどハマっており、それだけで泣けてくる。歌詞は字幕になっていなかったが、これはぜひ出してほしい。

 また、これまた路線的にはずれるが、印象的だったのはロッド・スチュアートの大ヒット曲『MAGGIE MAY』。ラジオから流れてくるこの曲を、Z-BOYSの連中が去った後、その兄貴分だった男(ヒース・レジャー好演)が、ボードを作りながら歌っている。哀愁を漂わせた、なんとも言えず切ないシーンでした。ジャケは、この曲を収録したロッドの1971年の名盤『EVERY PICTURE TELLS A STORY』。