Be Good

gakus2006-06-13

 昨日に続いてチャック・ベリーネタを。ブルース・ウィリス主演、リチャード・ドナー監督のサスペンス・アクション「16ブロック」(秋公開)の話。

 夜勤明けのNY市警の中年刑事(ウィリス)に、法廷で証言することになっている黒人の囚人(ラップ・アーティストのモス・デフがふんしている)の裁判所への護送の任務が下された。16ブロック移送するだけの簡単な仕事のはずだったが、そこにモス・デフを法廷に立たせると困ることになる仲間の刑事たちが介入し、その命を狙いだす。で、ウィリスは囚人を守るため、命を懸けて渋滞の朝のNYを駆け回ることになる…といった具合に、イーストウッドの「ガントレット」をほうふつさせるストーリー。そこにウィリスとモス・デフのかけあいの妙や友情がからむと、ドナーの「リーサル・ウェポン2」に雰囲気が近くなる。いずれにしても、男の映画であることは間違いない。

 ポコンとした出っ腹でくたびれた刑事を演じるウィリスもいいが、「ミッドナイト・ラン」のチャールズ・グローディンにも似た、純朴な囚人にふんするモス・デフのトボケた存在も捨て難い。出所したらケーキ屋を開くという、この囚人は“お前はワルだ、できるわけがない"というウィリスに、こう言い返す。“人間は変わることができる。バリー・ホワイトチャック・ベリーもムショで暮らしたけど、いい音楽を作ったじゃないか"…ごもっとも。

キャリアのもっともピークの時期に4年近く服役したにもかかわらず、長く現役を続けるベリーだが、タフで頑固な人だから、そんな経験も芸の肥やしに過ぎなかったのかもしれない。これはジェームス・プラウンにもいえること。ちなみに映画のエンディングでかかるのはバリー・ホワイトの方で、チャック・ベリーのナンバーは使われていない。

ジャケはチャック・ベリー最初の服役生活を終えた後のアルバムで、1964年の『St. Louis To Liverpool』。このジャケも最高。