傷だらけのローラ

gakus2006-08-16

 39歳独身の女性大学職員が、15歳年下の恋に落ちる…という内容の「ルイーズに訪れた恋は…」(9月公開)。主演がローラ・リニー(「エミリー・ローズ」「イカとクジラ」)だから、ただのラブストーリーではあるまいと思っていたが、案の定クセのあるお話でした。

 ラブストーリーというよりは、ヒロインと彼女をとりまく男たちのお話という感が強く、恋のお相手となる画家志望の学生(「スパイターマン3」のトファー・グレイス)や、その夫(ガブリエル・バーン)、弟(ポール・ラッド)がうまい具合に絡んできて彼女の人生をかき乱す物語。とくにガブリエル・バーンの衝撃の告白シーンでは思わず吹き出してしまった。

 一応、女性の心理に寄り添う作品なので、音楽選びもソフトなアコースティック・サウンドが重視されていて、ハードなロックは聴けない(ただし、実家のローラ・リニーの部屋にRAMONESのポスターが若気の至りのように貼られてある)。まあ、それはそれでオッケー。オープニング、身支度をしているヒロインの姿に重なるAMBULANCE LTDの『STAY TUNED』がミドルテンポのフォークロック・チューンで、まず快調。さらに、ローラとトファーがデートするレストラン兼バーではYO LA TENGOの『OUR WAY TO FALL』が鳴っているなど、アメリカン・インディーズに目配せして選曲。マーサ・ウェインライトも何曲が使われているようで、女性ボーカルの繊細さが光るセレクトでありました。

 ジャケはAMBULANCE LTD、先述の『STAY TUNED』を収録した2004年のデビュー・アルバム『LP』。最近のNYのバンドの中では、個人的に光るものがあると思います。