このバカ映画を埋もれさすな!その2

gakus2006-11-08

 今年の春「トランスポーター2」の宣伝で来日したジェイソン・ステイサムが“スゲー映画だ”と豪語していた次回作「CRANK」。秋口に全米で公開されるや案の定ナンバーワン・ヒットとなり、町山智浩氏のポッドキャストでも紹介されていたんだけど、これまた日本公開のウワサは聞こえてこない。いやはや、確かに“スゲー映画”でした。

「CRANK」はアクション映画で、ジェイソン・ステイサムふんするは犯罪組織の一員。そんな彼が組織を裏切ったことから制裁を加えられ、ある薬品を注入される。この薬は、体からアドレナリンを放出しないと胸が苦しくなって心臓を停止させてしまうというシロモノ。かくして四六時中心拍数を上げていないといけなくなったステイサムは、スピード違反やコカイン吸引、コンビニ強盗などなど、興奮を催すことをやり続ける。昔の青春ドラマみたいにウォー!と雄たけびをあげながら全力疾走したり、ヘビメタに合わせて無理矢理ヘッドバンギングしたり、トースターで手の手のひらを焼いてみたり、恋人とチャイナタウンのど真ん中でのセックスしたりと、胸の痛みから逃れるためなら何でもやる。

 ハイテンションの映画であることは、ぶっといギターリフと“RASIE YOUR HAAAAAND!"のコーラスが勇ましいオープニング曲のQUIET RIOT『METAL HEALTH』がバカ宣言のように鳴り響くことからも明らか。とにかく劇中ではこれらのヘビメタとパンクがガンガン、かかりまくる。ほとんど知らない曲でしたが…。そんな中で異彩を放っているのが、NILSSONのヒット曲『EVERYBODY'S TALKIN'』の爽やかなアコースティック・サウンド。これは逆説的な起用で、警官のバイクを奪ったステイサムが座席に立ち上がって曲乗りする(もちろん胸の痛みから逃れるため)シーンにトボケた味を加えている。そして案の定、この後ドリフのギャグのようにジェイソンはカフェに突っ込む。ジャケは、この『EVERYBODY'S TALKIN'』を収録した1971年のアルバム『REAL PANDEMONIUM BALLET』。



追記
ムービーアイ・エンターテインメントの配給で2007年日本公開。邦題『アドレナリン』。
http://www.movie-eye.com/lineup/2006/07/crank.html

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