旅に出ますか

gakus2007-12-25

 いわゆる“中年の危機”に差し掛かった親友同士の男たち4人のバイク旅行をコミカルに描き、今春アメリカで予想外のヒットを飛ばした『WILD HOGS』が、『団塊ボーイズ』という凄い邦題で、来年2月に日本公開される。

 事故破産宣告を受けて妻にも逃げられた実業家(ジョン・トラボルタ)、日々の生活でストレスを溜め込むメタボな歯科医(ティム・アレン)、妻に頭が上がらない配管工(マーティン・ローレンス)、半世紀以上も女運に見放されている独身のコンピューター・オタク(ウィリアム・H・メイシー)は、バイクのツーリング仲間。こんなドン詰まった今だから、『イージー・ライダー』のように当てもなく、気ままな旅をしよう……というワケで、彼らは西へ向かってバイクを走らせるのだが、暴走族に因縁を付けられたことから、予期せぬ騒動に巻き込まれる。

 “団塊”と呼ぶには、4人は若すぎる気もしないではないが、とりあえず肩が凝らずに楽しめるコメディー。とりわけ、ウィリアム・H・メイシーのキャラが面白く、何かとドジるわ、コケるわ、バカにされるわと、イメージを裏切らない活躍ぶりでした。

 そんな世代の人々のお話だから、使われるナンバーも時代的に幅が広い。SPENCER DAVIS GROUPの“GIMME SOME LOVIN’”に乗ってバイクの排気音が鳴り響くオープニング。『イージー・ライダー』でキャプテン・アメリカが腕時計を路上に捨てたように、旅立ち前の4人がケータイを捨てた(この時のメイシーもボケ役)直後にGRAND FUNK RAILROAD“WALK LIKE A MAN”が勇ましく響く。ミズーリ州へ向けてバイクを走らせるシーンのBGMはJETの“GET ME OUTTA HERE”。メイシーが、レイ・リオッタふんする暴走族のリーダーにバイクを奪われ、トラボルタのバイクのサイドカーで旅を続けるハメになるシーンではCREEDENCE CLEARWATER REVIVAL“KEEP ON CHOOGLIN’”をフィーチャー。そのバイクをトラボルタが単身、取り返しに行くシーンではBON JOVI“WANTED DEAD OR ALIVE”、暴走族に占拠されたダイナーを救うべくメイシーが単身乗り込んでいくシーンではELECTRIC LIGHT ORCHESTRA“SHOWDOWN”…といった具合。時代はバラバラだが、全体的に大陸的な大らかさを感じさせる点で一貫性はある。

 ジャケはJET、2004年に限定リリースされた“GET ME OUTTA HERE”の7インチアナログ盤。