独立第一章?

gakus2008-07-11

 今年もアメリカで大ヒットを飛ばした"独立記念日男"ウィル・スミス、『アイ・アム・レジェンド』以来の新作となる『ハンコック』(8月公開)。この映画で最初に聞こえてくる声は彼のものでもなければ、ヒロイン、シャーリズ・セロンのものでもない。なんとピーター・ウルフ!…などと興奮してるのは自分だけかもしれないが、J GEILS BANDの1972年のライブ・アルバム『FULL HOUSE』(画像)から、ボーカリスト、ウルフのMC込みで"WHAMMER JAMMER”がフィーチャーされている。ロックンロールを歌ううえで、これほどワイルドかつセクシーな声を出せる人はいないんじゃないかと思うウルフ。このナンバーはインストだから歌声そのものは聴けないが、そのMCに誘われてマジック・ディックのブルース・ハープが鳴り響き、ブギー風の演奏に突入して、パトカー数台と強盗のカーチェイスが映し出される。近年まれなゾクゾクするオープニング。

 さて映画の方。空を飛び怪力を発揮するロサンゼルスのスーパーヒーロー、ハンコック(スミス)は人助けをしているものの酒浸りで口が悪く、その上器物破損をガンガンやってしまうので、スパイダーマンとは対照的に街の嫌われ者となっていた。彼に命を救われた、人の好いPRマンは恩返しとばかりにイメージアップキャンペーンを展開。しかし、このPRマンの妻(シャーリズ・セロン)はハンコックとの関わりを避けているらしい。実は彼女には意外な秘密が…。

 ウィル・スミス主演でこういう話だと、どうしてもコメディーを期待してしまうが、その色は薄くてユーモラスという程度。ピーター・バーグ(『キングダム/見えざる敵』)の演出もいつものようにドキュメンタリー・タッチで、わざとらしい笑いは回避しているようだ。大人のためのファンタジー、という程度の表現がピッタリくるかも。それを裏付けるかのように、スミスのコメディー作品ではガンガン、フィーチャーされるヒップホップ系の曲は全然ないワケではないんだけれど印象は控えめで、冒頭のJ.ガイルズ・バンドもそうだが、ジョン・リー・フッカーのブルース・ナンバーが流れてきたりする。というわけで、全体的に渋い印象を受けた本作。続編に向けた序章か!?

Full House Live

Full House Live