ロックと人生

gakus2009-10-15

 再結成活動中の、PANTAとTOSHIの頭脳警察。その再結成を追った3部作『ドキュメンタリー頭脳警察』の第一部のお話を。

 この第一部では再結成頭脳警察のライブ映像こそはさみ込まれるものの、むしろ核をなすのはPANTAのバイオグラフィと、2006年ごろに行った彼の久々のレコーディング風景。歌舞伎町の元ストリップ・バーみたいなところ(風林会館)で行なわれたレコーディングは、PANTAの現役感を確実に伝えるほど熱気を帯びている。楽曲が着実に完成に向かうその様子は感動的。

 新譜を発表することがアーティストの活動の証であるならば、PANTAはここしばらく活動休止状態だったといえるだろう。しかし新譜を出そうと出すまいと人生は続く。もっとも印象に残ったのは、母親の葬儀でPANTAが喪主を務めているところ。葬儀という場はおおよそロックに似つかわしくないけれど、それでもPANTAの凛とした姿には訴えるものがあった。ロックを愛する者の生き方というのは、こういうごくフツーの場所に表われるものなのかもと、考えてしまった。つまり何をしても、PANTAPANTAになる。こういう生き方は、簡単そうで意外に難しい。

 アルバムの完成を記念したライブ・フッテージでは新曲と同列で、懐かしい”つれなのふりや”が披露された。この曲を歌っている際のPANTAの笑顔は、パフォーマーとしての喜びが表われていて、これまた印象深い。

 ジャケは”つれなのふりや”を収録した1979年リリースの名盤『マラッカ』。葬儀の際の喪主挨拶で、”日本のロック史上に残る名作”と語られていたが異存ナシ。”母がいなければ、このアルバムもなかった”という言葉に熱くなる。