祭!

gakus2010-11-08

 『プロークバック・マウンテン』『ラスト、コーション』と、このところ重っ苦しい作品が続いたアン・リー監督が、肩の力を抜いて楽しんで作ったと思われる『ウッドストックがやってくる!』(1月公開)のお話。

 1969年、ニューヨーク州の田舎でモーテルを経営する両親のもとに帰郷した早々、商工会長に任命された青年エリオットは町起こしの案に頭を痛めていた。そんな折り、ロックフェス、ウッドストックの会場が拒否されたとのニュースが。口うるさい母親をやり過ごしつつ、エリオットはフェスの誘致に尽力。主催者側も乗り気になるが、行く手にはさらに多くの困難が…。

 かの有名なウッドストック・フェスの舞台裏を、エリオット・タイバーの回想録に基づいてドラマ化。内幕が見られるのみならず、親から自立できず悶々とする主人公の精神的な成長を描いており、ラストでは気持ちの良い解放感を堪能させる。個人的にはリーブ・シュライバーのオカマ演技が妙味でありました。ちなみに↓これが原作。

ウッドストックがやってくる

ウッドストックがやってくる

 さて、この映画ではウッドストックのステージ上のフッテージは、まったく使われていない(にもかかわらず、臨場感を醸し出すのは、ラブ&ピースに酔っているオーディエンスの姿を的確にとらえているから)。なので、実在のアーティストのステージはまったく見ることができないが、当時の楽曲は随所に挿入される。THE DOORS”Maggie M’Gill”はフェスの準備風景に不安とエネルギーの混在を感じさせ、THE SEEDS"NO ESCAPE"は狂乱の混沌とパワーを匂わせる。さらにJOAN BAEZの”Sweet Sir Galahad”やTHE BAND“I Shall Be Released”などの実際の演奏曲は、ステージから遠く離れた場所に響いてくる。サイケで面白い時代だったのだなあと、追体験世代にはちょっと羨ましくなる。

 ジャケはザ・ドアーズ、ライブ・バージョンのヘビーな”Maggie M’Gill”を収めた『THE LIVE IN NEW YORK』、2009年リリース。