狂走

gakus2011-06-20

 いよいよ今週末に日本公開されるJ.J.エイブラムス監督、スティーブン・スピルバーグ製作の『スーパーエイト』。公開前からジャンルレスな作品であることをアピールしていたエイブラムスだが、なるほどといった感じ。

 1979年、オハイオ州の田舎町で8ミリカメラを手にゾンビ映画を撮影しようとしていた14歳のジョーら少年たちが、偶然にも貨物列車の脱線事故をフィルムに収めてしまう。その列車は、軍が隠し続けていた”何か”を輸送していたが、この事故により、それは解き放たれてしまう。この非常事態を受けて、軍は田舎町を封鎖。ジョーは”何か”に連れ去られた憧れの女の子を探すため、軍の目をぬって混乱の街を駆けまわり…。

 エイブラムス作品に付きもののハッタリ宣伝(?)によって期待される『クローバーフィールド』風の恐怖描写もあれば、列車脱線などのやたらと気合の入ったスペクタクルもあり。『E.T.』的なファンタジーの要素にはスピルバーグへのオマージュが垣間見えるし、青春・初恋ドラマとしても面白い。全体的な印象としては、かわいらしいSFジュブナイルと言うべきか。

 少年たちがおなじみの当時のヒット曲、THE KNACK”MY SHARONA"歌っていることからも明らかだが、選曲は時代背景に則っている。葬儀のオープニング・シーエンスの直後にかかるのELO"DON'T BRING ME DOWN"はエンドクレジットでもフィーチャーされ、いわばメインタイトル的な扱い。ガソリンスタンドの兄ちゃんが当時発売されたばかりのウォークマン(大きさも弁当箱大で、懐かしいぞ)で聴いているのはBLONDIE"HEART OF GLASS"。ソウル物ではCHIC、COMMODORESも聴こえてくる。

 ジャケはTHE CARS、1978年のデビュー・アルバム『THE CARS』(邦題『錯乱のドライヴ』)。夜中に少年たちがヒロインの車でロケ地へ向かうシーンがあるが、この時、車内でかかっているのが本作に収録されている”BYE BYE LOVE”。この直後、彼らは貨物列車に突進するトラックの”錯乱のドライヴ”を目の当たりにすることに…。

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