ドット・ジ・アイ

gakus2004-05-10

 7月公開予定のイギリス・スペイン合作映画「ドット・ジ・アイ」を観る。

 イギリス人の裕福なボンボンとの結婚を間近に控えたロンドン在住のスペイン娘が、突然現れたラテン青年(「アモーレス・ペロス」のガエル・ガルシア・ベルナル)の情熱的な求愛に揺れ動く。しかし、その背後には、意外なカラクリが…という、三角関係のラブストーリーを装ったサスペンス調の映画。性格の悪さの競い合いというべきクライマックスに突入する展開は、イギリス映画らしい毒気が効いてます。

 音楽もUKロック!ということで、かなりオイシイ扱いだったのが、アイドルワイルドの『OUT OF ROUTINE』。ホテルで食い逃げしたラテン男とヒロインの逃走シーンをグイグイ勢いづけるエイトビート。爽快でした。それともうひとつ、カフェでダヴズの『THERE GOES FEAR』が一瞬流れるんだけど、この後のストーリー展開を考えると、薄気味悪さの前兆というべき詞。メロディーに明るさがあるところが皮肉。

 イギリス映画を観てると、時々こういう底意地の悪い楽曲の使い方(褒め言葉です、念の為)をすることがあるけれど、数年前に観た「ハート」というスリラーを思い出した。かなりゾッとさせられるエンディングの後、クレジットに重なるのがアイズレー・ブラザースのモータウン時代のヒット曲『THIS OLD HEART OF MINE(IS WEAK FOR YOU)』。曲自体はラブソングだけど、この歌詞の“HEART"を字義どおりに受け止めて映画を振り返ると、シャレになってないことに気づく。言うまでもなく、モータウン調だからメロディーは陽気。イギリス人って、ホント、性格悪いんだねえ。